冷蔵庫で冷やした焼き芋を、冷たいまま食べる「冷やし焼き芋」。家で焼いた芋を冷やして作ることも、冷蔵で売られている商品を買うこともできます。
その一方で、「焼いた後、どうやって冷やせばいいの?」「冷蔵庫で何日もつの?」「温かい焼き芋と何が違うの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、冷やし焼き芋の作り方と日持ち、温かい焼き芋との違いについて、食品安全の資料や研究論文をもとに、わかりやすくご説明したいと思います。
先に要点をまとめると、次のとおりです。
- 作り方:焼いたらアルミホイルを外して小分けにし、焼いてから2時間以内(気温が32℃を超えるときは1時間以内)に、温度の低い冷蔵室へ入れて冷やします
- 日持ち:手作りのものは冷蔵で3〜4日までが目安で、できるだけ早めに食べきります。市販品は、表示された期限と保存方法に従います
- 温かい焼き芋との違い:冷やして糖やカロリーが増減することを示した資料は、当サイトでは確認できていません。レジスタントスターチ(消化されにくいでんぷん)は、焼いた芋で調べた研究では冷蔵後に増える傾向がみられたものの、はっきりした差は出ていません
なお、冷やし焼き芋は「効果」とあわせて紹介されることがありますが、当サイトでは体への働きは取り上げていません。冷やすことで成分や食感の何が変わるのかを、資料で確かめられた範囲でご紹介します。持病や食事制限のある方は、医師・管理栄養士にご相談ください。
焼き芋の保存全般については、焼き芋の日持ちを保存方法ごとに解説した記事でまとめています。
冷やし焼き芋とは?冷蔵庫で冷やして食べる焼き芋
冷やし焼き芋とは、焼き芋を冷蔵庫などで冷やし、冷たいまま食べる食べ方のことです。決まった定義があるわけではなく、家で焼いた芋を冷やしたものも、冷蔵で売られている商品も、この名前で呼ばれています。ここでは、冷やし焼き芋が楽しまれるようになった背景と、家で作るものと市販品の違いをご説明します。
冷やし焼き芋が楽しまれるようになった背景
焼き芋といえば、冬に熱々を食べるものという印象をお持ちの方も多いと思います。冷やし焼き芋は、その焼き芋を焼いた後に冷やし、季節を問わずひんやりとした状態で楽しむ食べ方です。
背景のひとつとして、品種の変化が挙げられています。農畜産業振興機構の広報誌「alic」(2024年11月号)で、カルビーかいつかスイートポテトの安藤國行社長は、べにはるか(同社では「紅天使」として販売)について、冷めてもおいしく「しっとり感」があり、むしろ冷やしたほうが好きという人もいると話しています。そのうえで、冷めてもおいしいべにはるかが出たことで、焼き芋がデザートやスイーツとして食べられ始め、食べる場面が増えたのではないか、という見方を示しています。
ただし、どの品種が冷やし焼き芋に向くかを比べた資料は、当サイトでは確認できていません。ねっとり・しっとりとした食感が好きか、ほくほくした食感が好きかで、好みの品種を選んでみてください。
手作りのものと市販品の違い
冷やし焼き芋には、家で焼いて冷やしたものと、お店で焼いて冷やし、包装して売られているものがあります。
市販品は、冷蔵や冷凍で売られ、消費期限や賞味期限、保存方法が表示されています。日持ちは、その表示に従って判断します。
一方、家で作る場合は、焼いてから冷やすまでの扱いをすべて自分で決めることになります。冷やし方しだいで、日持ちの目安があてはまらなくなることもあるため、次の章の手順を参考にしてください。
冷やし焼き芋の作り方|焼いたら早く冷やす
冷やし焼き芋の作り方は、「焼く」と「冷やす」の2つの工程だけです。ただし、冷やす工程の扱い方によって、日持ちや安全性が大きく変わります。ここでは、焼き方の要点と、安全に冷やすための手順、冷やす時間の目安をご説明します。
まず、焼き芋を作る
冷やし焼き芋の甘さは、焼く段階でほぼ決まります。後の章でご説明するとおり、冷やしている間に糖が増えることを示した資料は見当たらないためです。
焼き芋を甘く焼くコツは、芋の中の温度をゆっくり上げることです。一般的な品種では、芋の中が70〜75℃前後の温度帯を長く通るほど、甘さのもとになる麦芽糖が作られやすいとされています(いも類振興情報136号)。この温度帯は、品種や条件によって違います。
オーブンやトースター、電子レンジなど、器具ごとの焼き方と時間の目安は、家で焼き芋を作る方法を器具別に解説した記事でまとめています。皮ごと食べる場合は、焼く前に皮の土をよく洗い落としておきましょう。
冷やす手順|ホイルを外し、小分けにして2時間以内(32℃超は1時間)に冷蔵室へ
焼き上がった芋は、次の手順で冷やします。ポイントは、「常温に長く置かず、早く冷やす」ことです。
- アルミホイルを外す:ホイルで包んで焼いた場合は、焼き上がったらホイルを外します。米国疾病予防管理センター(CDC)は、ホイルで包んで焼いたじゃがいもについて、60℃(140°F)以上に保つか、ホイルをゆるめて4℃(40°F)以下の冷蔵庫に入れるよう呼びかけています。同センターは、ホイルで包んで焼いたじゃがいもを、新たに見つかったボツリヌス症の原因のひとつとして挙げています。じゃがいもについての注意ですが、焼いた芋をホイルで包んだまま置くという点は、焼き芋にも当てはまります
- 小分けにする:食べない分は1本ずつに分けたり、食べやすい大きさに切ったりします。厚生労働省は、残った食品を早く冷えるように浅い容器に小分けして保存するよう呼びかけています。太い芋は、切ってから冷やしたほうが早く冷えます
- 包む:湯気が落ち着いたら、1本ずつラップで包むか、ふたつきの保存容器に入れます。乾燥やにおい移りを防げます
- 冷蔵庫へ入れる:焼いてから2時間以内(気温が32℃を超えるときは1時間以内)に、冷蔵庫へ入れます。野菜室は機種によって温度が違うため、温度の低い冷蔵室に入れると安心です
冷蔵室をすすめるのは、焼き芋で気をつけたいセレウス菌について、内閣府食品安全委員会が、調理後に食品を保存する場合は、速やかに8℃以下で保存し、保存期間はできるだけ短くするよう示しているためです。厚生労働省も、冷蔵庫は10℃以下に保つことを目安としています。
アルミホイルで包んだまま置く危険や、焼き芋で気をつけたい菌については、焼き芋の食中毒と保存の注意点を解説した記事で詳しくご説明しています。
「室温まで冷ましてから」を待たない理由
レシピには、「粗熱をとってから冷蔵庫へ」とするものがあります。ここで気をつけたいのは、焼き芋が室温まで冷めるのを待とうとすると、思った以上に時間がかかることです。
宮城教育大学の亀井文氏らの研究では、厚さ2cm・直径約4cmに切りそろえたなると金時をオーブンで焼いた後、芋の内部の温度が室温(約23.8℃)まで下がるのに、2時間17分かかっていました(宮城教育大学紀要 第53巻)。丸ごとの焼き芋は、これより太いことが多いため、さらに時間がかかると考えられます。
一方、世界保健機関(WHO)は、調理済みの食品を室温に2時間以上放置しないよう呼びかけています。米国農務省(USDA)は、傷みやすい食品は2時間以内(気温が32℃〔90°F〕を超えるときは1時間以内)に冷蔵するよう示しています。熱い食品は、そのまま冷蔵庫に入れてよいともしています。
そのため、冷やすときは、室温まで冷めるのを待たずに、湯気が落ち着いた程度で包んで冷蔵庫へ入れてください。ホイルに包んだまま常温で冷まし、そのまま冷蔵庫へ入れる手順を紹介するレシピもありますが、ホイルは外してから冷やしましょう。
焼いてから2時間以上(気温が高いときは1時間以上)常温に置いてしまった芋は、冷やし焼き芋にせず、処分することをおすすめします。セレウス菌が作る嘔吐毒(おうとどく)は、126℃で90分加熱しても失活しないとされており(食品安全委員会)、後から冷やしたり温め直したりしても、消すことができないためです。
どのくらい冷やせばいい?
冷やす時間について、決まった基準は見当たりません。レシピの例では、デリッシュキッチンの「冷やし焼き芋」が、冷蔵庫で3時間以上冷やすとしています。なお、このレシピはアルミホイルで包んで焼く手順です。冷やす前には、前の手順のとおりホイルを外しましょう。
中まで冷えるのにかかる時間は、芋の太さや冷蔵庫の温度で変わります。早く食べたいときは、前の手順のとおり、切ってから冷やすと冷えやすくなります。
なお、長く冷やすほど甘くなる、ねっとりするといった説明を見かけることがありますが、それを確かめた資料は、当サイトでは確認できていません。冷やした芋は、後の章でご説明する日持ちの目安のうちに食べきりましょう。
冷凍した焼き芋から作る
焼き芋を冷凍しておき、食べる前に冷蔵庫へ移して解凍すれば、冷たい焼き芋として食べることができます。解凍は冷蔵庫か電子レンジで行い、常温に長く置いて解凍するのは避けてください。
半分ほど凍った状態で、シャーベットのように食べる楽しみ方もあります。解凍のしかたは、冷凍焼き芋の解凍方法を解説した記事でご説明しています。冷凍すると食感や風味が変わることもあり、その仕組みは焼き芋を冷凍したときに味が変わる仕組みを解説した記事をご覧ください。
冷やし焼き芋の日持ち|手作りは冷蔵3〜4日まで、市販品は表示どおり
冷やし焼き芋は、焼いた芋を冷蔵庫で保存しているのと同じ状態です。「冷やし焼き芋」として作ったからといって、冷蔵した焼き芋より長持ちするわけではありません。ここでは、手作りのもの、市販品、冷凍した場合に分けて、日持ちの目安と、食べないほうがよいサインをご説明します。
手作りのものは冷蔵3〜4日までが目安
家で作った冷やし焼き芋は、冷蔵庫で3〜4日が目安です。米国農務省が、調理した食品の残りを冷蔵庫で保存できる日数として示しているものです。一方、世界保健機関(WHO)の資料(日本語版)は、食べ残した物は冷蔵庫でも3日以上保存しないよう呼びかけています。資料によって1日の幅があるため、できるだけ早めに食べきり、迷ったときは短いほうを目安にしてください。
この日数は、焼いてから2時間以内(気温が32℃を超えるときは1時間以内)に冷蔵庫へ入れた場合の目安です。冷蔵庫に入れるまでに長く常温に置いていた場合は、冷蔵庫に入れてからの日数が短くても、この目安はあてはまりません。
また、日数は「ここまでなら安全」と保証する期間ではなく、「これ以上は置かない」という上限の目安です。米国農務省は、冷蔵庫を4℃(40°F)以下に保つよう示しており、冷蔵庫の温度はできるだけ低めにしておきましょう。厚生労働省は、細菌の多くは10℃では増え方がゆっくりになるものの、死ぬわけではないとしています。冷やした芋も、早めに食べきるようにしてください。
市販品は、期限と保存方法の表示に従う
冷蔵で売られている冷やし焼き芋は、表示された期限と保存方法に従ってください。
農林水産省によると、消費期限は、袋や容器を開けないまま、書かれた保存方法を守って保存した場合に「安全に食べられる期限」です。賞味期限は、同じ条件で「おいしく食べられる期限」のことです。
どちらの期限も、表示どおりに保存していることが前提です。「要冷蔵」などの表示がある商品は、買った後に車の中などに置いたままにせず、早めに冷蔵庫へ入れましょう。また、一度開けたものは、期限に関係なく早めに食べるよう、農林水産省は呼びかけています。
冷凍するなら2〜3週間を目安に
3〜4日で食べきれない場合は、早めに冷凍しておく方法があります。農林水産省は、家庭で冷凍した食品は、品質の低下が早く進むため、2〜3週間以内に使い切るよう案内しています。冷凍の手順や、冷凍した焼き芋の扱いは、焼き芋の日持ちを保存方法ごとに解説した記事をご覧ください。
食べないほうがよいサイン
冷やした芋に、次のような変化があるときは、食べずに処分してください。
- カビが生えている(色を問いません)
- 酸っぱいにおいや、いつもと違うにおいがする
- 表面がぬめっている、糸を引く
- 口に入れたとき、苦みやえぐみ、いつもと違う味がする(確かめるための味見はしないでください)
ただし、これらのサインがないことは、安全であることの証明にはなりません。米国農務省は、病気を起こすおそれのある有害な細菌は、見ることも、においを嗅ぐことも、味わうこともできないと説明しています。食中毒の原因になる菌は、増えても見た目やにおいをほとんど変えないことがあります。
そのため、食べられるかどうかは、見た目よりも「いつ焼いたか」「焼いた後、どこにどれくらい置いたか」という保存の履歴で判断してください。
温かい焼き芋との違い|食感・甘さと香り・カロリー・レジスタントスターチ
冷やし焼き芋と温かい焼き芋の違いとして、食感や甘さ、成分の変化がよく紹介されています。ただし、冷やすことでどこまで変わるのかを調べた資料は、多くありません。ここでは、資料で確かめられたことと、確かめられていないことを分けてご説明します。
まず、違いを表にまとめます。
| 項目 | 温かい焼き芋 | 冷やし焼き芋 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 食感 | ほくほく・ねっとりなど(品種による) | べにはるかは冷めてもしっとり感があると、販売する企業の社長が話している | alic 2024年11月号 |
| 甘さ | 焼く間に麦芽糖ができて甘くなる | 冷やして糖が増えることを示した資料はない | いも類振興情報136号 |
| 香り | 焼きたての香り | 一度冷えると、温め直しても香りが戻りにくい | 永浜伴紀「焼きいもの香り」 |
| カロリー | 100gあたり151kcal(焼き・皮なし) | 成分表に項目がなく、下がるとする数値は確認できない | 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 |
| レジスタントスターチ | 加熱した直後は少ない | 焼いた芋では、冷蔵後に増える傾向(はっきりした差はなし) | 宮城教育大学紀要 第53巻 |
| 常温に置けるのは | 焼いてから2時間まで(32℃超は1時間) | 冷蔵庫から出したら早めに食べる | WHO・米国農務省 |
食感|しっとり感が残る品種がある
冷やした焼き芋の食感は、品種や焼き方によって違います。前の章でご紹介したとおり、べにはるかについては、冷めても「しっとり感」があると、販売する企業の社長が話しています(alic 2024年11月号)。
加熱したさつまいもを冷やすと、でんぷんに「老化」と呼ばれる変化が起こります。加熱で水を含んでやわらかくなったでんぷん(糊化〔こか〕したでんぷん)の一部が、冷えることで再び結晶のような状態に戻る変化です。亀井氏らの研究は、調理後に再結晶した老化でんぷんを、レジスタントスターチの種類のひとつとして紹介しています(宮城教育大学紀要 第53巻)。
ただし、冷やし焼き芋の食感が温かい焼き芋とどう違うのかを、同じ芋で比べた資料は、当サイトでは確認できていません。「ねっとりする」「かたくなる」といった感じ方には、品種や焼き方、冷やし方の違いも関わると考えられます。
甘さと香り|冷やして糖が増えるわけではない
焼き芋が甘くなるのは、加熱の途中で、β-アミラーゼという酵素が糊化したでんぷんを分解し、麦芽糖を作るためです。この酵素は、温度が75〜80℃に達するとほとんど働かなくなるとされています(いも類振興情報136号)。焼き上がった芋を冷やしている間に、麦芽糖が増えることを示した資料は、当サイトでは確認できていません。
「冷やすと甘くなる」と紹介されることもありますが、甘さの感じ方と温度の関係を調べた研究もあります。マウスの味神経を調べた研究では、15〜35℃の範囲で温度が高いほど、甘味への反応が強くなっていました(Talavera ほか、Nature、2005年)。論文は、人で温度が高いほど甘く感じやすいとされる現象の仕組みに、この反応が関わっている可能性を示しています。冷蔵庫で冷やした温度はこの実験の範囲の外ですが、冷やすほど甘く感じる、とは言い切れません。
香りにも違いがあります。日本いも類研究会のサイトに掲載されている、永浜伴紀氏(鹿児島大学名誉教授)の「焼きいもの香り」によると、焼き芋は一度冷えると、温め直しても香りが再現しにくいとされています。分析すると香りの成分のパターンが単調になり、バランスがくずれていましたが、その理由はまだ解明されていないということです。
焼きたての香ばしい香りは、焼きたてのうちに楽しみたいものです。冷やし焼き芋は、香りよりも、冷たさや食感を楽しむ食べ方と考えるとよいでしょう。
カロリーと糖質は変わる?
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、焼いたさつまいも(皮なし)は、100gあたりエネルギー151kcal、炭水化物39.0g、食物繊維総量4.5gです。
成分表には、冷やした焼き芋の項目はありません。冷やすことでカロリーや糖質が下がるとする数値も、当サイトでは確認できていません。冷やし焼き芋のカロリーは、まずは焼き芋と同じと考え、食べた量で見積もるのが現実的です。
焼き芋1本あたりや、重さ別のカロリーは、焼き芋のカロリーを重さ別に解説した記事で計算しています。
レジスタントスターチは増える?
レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)は、健康な人の小腸で消化・吸収されないでんぷんと、その分解物のことです。種類のひとつに、調理後に再結晶した老化でんぷんがあります(宮城教育大学紀要 第53巻)。そのため、「焼き芋を冷やすとレジスタントスターチが増える」と紹介されることがあります。
では、焼いたさつまいもを冷やすと、実際にどうなるのでしょうか。焼いた芋を冷やして測った研究として、亀井文氏・高橋遥氏の「さつまいもの加熱調理直後、冷蔵保存及び再加熱によるレジスタントスターチ量の変化」(宮城教育大学紀要 第53巻 211〜216頁)があります。
この研究の条件は、次のとおりです。
- 試料:徳島県産のなると金時の皮をむき、厚さ2cm・直径約4cmに切りそろえたもの
- 調理:茹でる、蒸す、焼く(予熱なしのオーブンで160℃・20分、アルミホイルで覆う)の3通り
- 冷やし方:焼いた芋は室温に2時間半置いた後、24時間冷蔵保存
- 再加熱:電子レンジ(500W・40秒、ラップあり)
結果は、次のとおりでした。
- レジスタントスターチの量は、加熱した直後・冷蔵後・再加熱後のいずれも、茹で、蒸し、焼きの順に多く、焼いた芋がいちばん少なかった
- 焼いた芋は、冷蔵後に増える傾向がみられたものの、統計的にはっきりした変化はなかった
- 茹でた芋は、冷蔵後に増え、再加熱後も減らなかった。蒸した芋は、冷蔵後に増え、再加熱後には減った
つまり、焼いた芋で調べたこの研究では、冷やして増えるかどうかは、はっきりしませんでした。また、試料は小さく切った芋で、丸ごとの焼き芋とは焼き方も冷え方も違います。丸ごとの焼き芋を冷やしたときのレジスタントスターチの量を測った資料は、当サイトでは見つけられませんでした。
なお、この論文の英文の要旨には「冷凍(freezing)」とありますが、本文の方法は24時間の冷蔵保存です。本記事は本文に従っています。また、研究では室温に2時間半置いてから冷蔵していますが、これは実験の手順です。家庭では、焼いてから2時間以内(気温が32℃を超えるときは1時間以内)に冷蔵庫へ入れてください。
レジスタントスターチが体にどう働くかは、当サイトでは取り上げていません。持病や食事制限のある方は、医師・管理栄養士にご相談ください。
冷やし焼き芋の食べ方と温め直し
冷やし焼き芋は、冷蔵庫から出してそのまま食べるのが基本です。温めて食べることもできますが、その場合は温め方に注意が必要で、焼きたてと同じ香りには戻りにくいとされています。ここでは、冷たいまま楽しむ食べ方と、温め直すときの注意をご説明します。
冷たいまま、好みの食べ方で
冷蔵庫から出したら、常温に長く置かずに食べましょう。皮ごとでも、皮をむいても食べられます。
そのまま食べるほか、アイスクリームを添えるなど、デザートとして楽しむレシピも紹介されています。冷凍した焼き芋を半解凍で食べる方法は、前の章の「冷凍した焼き芋から作る」をご覧ください。
温め直すときは、中心まで十分に
冷やした焼き芋を温めて食べる場合は、中心まで十分に温めてください。厚生労働省は、残った食品を温め直すときの目安を75℃以上としています。
ただし、温め直しは「食べられる状態に戻す方法」ではありません。常温に長く置いてしまった芋は、前の章のとおり、温め直さずに処分してください。
電子レンジで温める場合は、加熱しすぎると焼き芋から火が出ることがあります。東京消防庁は、電子レンジで加熱した焼き芋が出火した実験の結果を公表しています。短めの時間から様子を見て、加熱中はそばを離れないでください。電子レンジの使い方は、電子レンジで焼き芋を作る方法を解説した記事でご説明しています。
なお、前の章でご紹介したとおり、焼き芋は一度冷えると、温め直しても香りが戻りにくいとされています(永浜伴紀「焼きいもの香り」)。焼きたての香りを楽しみたいときは、食べる分だけを焼くのがおすすめです。
よくある質問
冷やし焼き芋について、よく検索されている疑問にお答えします。「効果」やGI値など体への働きに関する質問は、当サイトで扱う範囲もあわせてご説明します。作り方や保存に関する質問は、本文の該当する章もあわせてご覧ください。
Q1. 冷やし焼き芋には「効果」がありますか?
当サイトでは、冷やし焼き芋の体への働きは取り上げていません。冷やすことで成分の何が変わるのかは、本文の「温かい焼き芋との違い」でご紹介しています。持病や食事制限のある方は、医師・管理栄養士にご相談ください。
Q2. 冷やすとカロリーは下がりますか?太りにくくなりますか?
日本食品標準成分表に冷やした焼き芋の項目はなく、冷やすことでカロリーが下がるとする数値は、当サイトでは確認できていません。焼き芋は100gあたり151kcal(焼き・皮なし)なので、食べた量で見積もるのが現実的です。体重への影響は、当サイトでは扱っていません。
Q3. 冷やした焼き芋を温め直すと、レジスタントスターチは減りますか?
焼いた芋を調べた研究(亀井氏ら、宮城教育大学紀要 第53巻)では、冷蔵後も、電子レンジで温め直した後も、統計的にはっきりした変化はありませんでした。蒸した芋は温め直した後に減り、茹でた芋は減らなかったと報告されています。いずれも小さく切った芋の結果で、丸ごとの焼き芋のデータは見つけられませんでした。
Q4. 冷やすとGI値は下がりますか?
GI値や血糖値への影響は、当サイトでは取り上げていません。血糖値が気になる方や、持病のある方は、医師・管理栄養士にご相談ください。
Q5. 常温で冷ましてから冷蔵庫に入れてもいいですか?
常温に置くのは、焼いてから2時間まで(気温が32℃を超えるときは1時間まで)を目安にしてください。厚さ2cmに切った芋でも、室温まで下がるのに2時間以上かかったという研究があります。室温まで冷めるのを待たず、湯気が落ち着いたら包んで冷蔵庫へ入れましょう。
Q6. 何時間冷やせばいいですか?
決まった基準はありませんが、レシピの例では、冷蔵庫で3時間以上冷やすとしているものがあります(デリッシュキッチン)。太い芋は、切ってから冷やすと早く冷えます。冷やしたものは、焼いてから3〜4日までを目安に、できるだけ早めに食べきってください。
Q7. 冷やし焼き芋に向いている品種はありますか?
品種ごとに冷やし焼き芋の向き不向きを比べた資料は、当サイトでは確認できていません。べにはるかについては、冷めてもしっとり感があると、販売する企業の社長が話しています(alic 2024年11月号)。食感の好みに合わせて選んでみてください。
まとめ
冷やし焼き芋は、焼き芋を冷蔵庫で冷やして食べる食べ方です。作り方そのものは簡単ですが、冷やす前の扱い方と日持ちには気をつける必要があります。おいしく安全に楽しむためのポイントを、最後に整理します。
- 甘さは焼く段階で決まるため、芋の中の温度をゆっくり上げて焼きましょう
- 焼いたらアルミホイルを外して小分けにし、室温まで冷めるのを待たずに、焼いてから2時間以内(気温が32℃を超えるときは1時間以内)に冷蔵室へ入れましょう
- 手作りのものは、冷蔵で3〜4日までが目安です。WHOの資料は3日以上置かないよう呼びかけているため、できるだけ早めに食べきりましょう。市販品は表示された期限と保存方法に従い、開けたら早めに食べましょう
- 冷やして糖やカロリーが変わることを示した資料は確認できていません。焼き芋は一度冷えると、温め直しても香りが戻りにくいとされています
- レジスタントスターチは、焼いた芋で調べた研究では冷蔵後に増える傾向がみられたものの、はっきりした差は出ていません
焼いた後の焼き芋の保存は焼き芋の日持ちを保存方法ごとに解説した記事、焼く前の生のさつまいもの保存はさつまいもの保存方法を解説した記事でまとめています。あわせてご覧ください。
参考資料
本記事の作成にあたって参照した資料です。
- 亀井文・高橋遥「さつまいもの加熱調理直後、冷蔵保存及び再加熱によるレジスタントスターチ量の変化」宮城教育大学紀要 第53巻、211〜216頁(2018年度、2019年1月公開)
- 中村善行「サツマイモの甘さや食感とでん粉の糖化」いも類振興情報 136号、14〜18頁、2018年
- 永浜伴紀「焼きいもの香り」(日本いも類研究会のサイトに掲載)
- 農畜産業振興機構 広報webマガジン「alic」2024年11月号「【この人に聞く】夏でも焼き芋の時代 〜さつまいも(かんしょ)の可能性を探る〜」
- 文部科学省「食品成分データベース(さつまいも 塊根 皮なし 焼き)」日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
- Talavera K ほか "Heat activation of TRPM5 underlies thermal sensitivity of sweet taste" Nature 438巻、1022〜1025頁、2005年
- 世界保健機関(WHO)「食品をより安全にするための5つの鍵 マニュアル」日本語版(国立保健医療科学院、2007年)
- 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)"Leftovers and Food Safety"、"Keep Food Safe! Food Safety Basics"
- 米国疾病予防管理センター(CDC)"Preventing Botulism"
- 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」
- 内閣府 食品安全委員会「ファクトシート セレウス菌食中毒」
- 農林水産省「消費期限と賞味期限」
- 農林水産省「消費者の部屋」「ホームフリージングする際の注意点について教えてください。」
- 東京消防庁「火災に注意!電子レンジを安全に使用しましょう!」
- デリッシュキッチン「ひんやりおやつ♪冷やし焼き芋」
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