秋から冬にかけては、さつまいもを箱で買ったり、芋掘りでたくさん持ち帰ったりする機会が増えます。そんなときに迷うのが、どこに置けば長持ちするかです。冷蔵庫に入れたほうがよいのか、新聞紙は必要なのか、何日くらい持つのか。調べてみると、サイトによって温度も日数もまちまちです。

結論からお伝えすると、切っていない生のさつまいもは、13〜15℃前後の涼しい室内で常温保存するのが基本です(日本いも類研究会)。冷蔵庫は温度が低すぎるため向きません。切ったものは切り口をラップで包んで冷蔵庫の野菜室に入れ、早めに使い切ります。長く置きたいときは冷凍し、家庭で冷凍したものは2〜3週間以内を目安に使い切りましょう(農林水産省)。

本記事では、さつまいもの保存方法について、わかりやすくご説明したいと思います。常温・冷蔵・冷凍の使い分けに加えて、季節ごとの注意、切った後の保存、芋掘りで収穫した芋の扱い、保存と甘さの関係を取り上げます。

なお、この記事で扱うのは、主に生のさつまいもです。焼き芋など加熱したものの日持ちは、焼き芋の日持ちを保存方法ごとに解説した記事でまとめています。

さつまいもの保存方法の早見表|常温・冷蔵・冷凍・切った後

切っていない生のさつまいもは、13〜15℃前後の涼しい室内で常温保存するのが基本です。冷蔵庫は温度が低すぎます。ここでは、さつまいもの状態ごとの保存方法を早見表にまとめました。あわせて、13〜15℃前後が目安になる理由を、温度ごとに起こることと一緒にご説明します。

状態別の保存方法の早見表

さつまいもの状態ごとに、置き場所と包み方、日持ちの考え方をまとめました。

状態 置き場所・温度 包み方 日持ちの考え方
丸ごと(秋〜春) 涼しい室内。13〜15℃前後が目標で、10℃を下回らない場所 段ボール箱に入れる。寒い地域では新聞紙で包んで発泡スチロールの箱へ。密閉はしない 家庭での日数を示した公的な資料は見当たらない。芽・しわ・柔らかさ・カビなどで状態を確かめる
丸ごと(夏・暖房の効いた部屋) 家の中でいちばん涼しく、日の当たらない場所。野菜室は一時的な避難先 同上 暖かいと芽や根が出やすく、傷みやすいため、早めに使う
切ったもの 冷蔵庫の野菜室 切り口をラップで包む 傷みやすいため、早めに使い切る
長く置きたいとき 冷凍庫 小分けにし、ラップや保存袋で空気を遮断する 家庭で冷凍したものは2〜3週間以内(農林水産省)
焼き芋・蒸し芋など加熱したもの 冷蔵庫・冷凍庫 小分けにする。アルミホイルは外す 常温に置くのは2時間まで(気温32℃超は1時間まで)(米国農務省)

表の中でとくに大切なのが、「密閉しない」という点です。日本いも類研究会は、段ボールや発泡スチロールの容器での保存を紹介したうえで、密閉すると湿気がこもり、腐敗の原因になると注意しています。また、野菜室は冷蔵庫の中では温度が高めですが、それでもさつまいもには低すぎる温度帯です。どちらも、後の章で詳しくご説明します。

丸ごとのさつまいもが何日持つかは、置き場所の温度や湿度、芋の状態によって大きく変わります。産地の貯蔵施設では、温度と湿度を整えて、数か月にわたって貯蔵されています。農研機構の「最適貯蔵条件一覧表」は、温度13〜15℃・湿度85〜95%で貯蔵した場合の貯蔵限界の目安を4〜7か月としています。カリフォルニア大学デービス校の収穫後研究センター(以下、UC Davis)は、条件が整えば6〜10か月の貯蔵ができるとしています。ただ、家庭では同じ条件を保ちにくいため、当サイトでは日数で区切らず、状態を見ながら早めに使うことをおすすめします。確かめ方は、後の「ときどき状態を確かめる」でご紹介します。

温度ごとに起こること|13〜15℃前後が目安になる理由

さつまいもは、寒すぎても暑すぎても傷みやすいのが特徴です。資料によって数字に少しずつ違いがあるため、何が起こる温度なのかを並べて整理しました。

温度 起こること(資料の説明) 出典
9℃以下 貯蔵すると低温障害のリスクが高まる 農研機構
10℃以下 家庭では、この温度にならないようにする JAなめがた甘藷部会連絡会
12.5℃以下 低温障害に非常に敏感 UC Davis
13〜15℃(湿度80〜90%) 貯蔵に適した温度 日本いも類研究会
15℃以上 発芽や発根、皮色の劣化などの品質低下が起きる 農研機構

保存に適した温度を、13〜15℃・湿度85〜95%(農研機構の最適貯蔵条件一覧表)、13〜14℃・湿度90%前後(農研機構、産地の貯蔵)、13〜16℃(東北農政局)、12℃±2℃前後(農畜産業振興機構)とする資料もあります。数字には1〜2℃の幅がありますが、おおむね13〜15℃前後を目標にするとよいでしょう。

低温障害(さつまいもを冷やしすぎたときに起こる傷み)については、国内の資料(農研機構)は9℃以下の貯蔵でリスクが高まるとし、UC Davis は12.5℃以下で非常に敏感としていて、3℃以上の開きがあります。資料によって数字が違う理由は、当サイトでは確認できていません。家庭では、「目標は13〜15℃、少なくとも10℃は下回らないようにする」と、目標と下限を分けて考えるのがおすすめです。

ただし、10℃を超えていれば低温障害が起こらない、という意味ではありません。UC Davis が12.5℃以下で低温障害に非常に敏感としているように、10℃を少し上回るくらいの温度も、さつまいもにとっては低めです。下限の10℃は、「これ以上は下げたくない目安」と考えてください。

高い温度のほうでは、15℃以上になると芽や根が出やすくなります(農研機構)。なお、「5℃以下で低温障害」「20℃以上で発芽」といった数字を見かけることもありますが、当サイトが確認した資料では、その根拠は見つかりませんでした。

常温保存のやり方|丸ごとのさつまいもを長持ちさせる

さつまいもを長持ちさせる基本は、切らずに丸ごとのまま、常温で保存することです。とはいえ、特別な道具は必要ありません。ここでは、置き場所の選び方と包み方、洗わずに保存する理由、保存中に状態を確かめるポイントを順にご紹介します。

置き場所|寒すぎず暑すぎない、暗くて風通しのよい室内

日本いも類研究会は、家庭では台所の片隅や流しのあたりに、段ボールに入れて置いておけば大丈夫だとしています。東北農政局も、新聞紙などに包んで室内の冷暗所で保存する方法を紹介しています。特別な貯蔵庫がなくても、室内のちょうどよい場所を選べば保存できるということです。

避けたいのは、暖房の風やコンロの熱が当たる場所と、直射日光の当たる窓際です。温度が上がりすぎると、芽や根が出やすくなります。反対に、冬の玄関や北側の窓際、床下収納などは、思った以上に冷えることがあります。10℃を下回りそうな場所は避けましょう。

置き場所の温度が気になるときは、温度計をそばに置いて、何日か様子を見るのもひとつの方法です。昼と夜で温度が大きく変わる場所も、できれば避けたほうが安心です。

包み方|段ボール・新聞紙・発泡スチロール。密閉はしない

包み方は、日本いも類研究会の説明が参考になります。研究会は、家庭では段ボールに入れておけば大丈夫とし、少し寒い地域では、新聞紙にくるんで発泡スチロールの容器に入れるとよりよいとしています。

農畜産業振興機構も、冷蔵庫には入れず、乾燥しないように新聞紙などでくるんで常温で保存するよう勧めています。

そのうえで研究会は、密閉すると湿気がこもり、腐敗の原因になるとしています。発泡スチロールの箱を使うときも、ふたをきっちり閉めて密閉しないようにしましょう。農畜産業振興機構も、ポリ袋などに入れたまま置いておくと蒸れて腐敗の原因になるとして、袋から出すよう勧めています。買ってきたさつまいもがポリ袋に入っていたら、袋から出してから保存しましょう。

新聞紙がないときは、どうすればよいのでしょうか。研究会の説明では、新聞紙は少し寒い地域での工夫として紹介されていて、家庭では段ボールに入れておけば大丈夫とされています。新聞紙の代わりにキッチンペーパーや紙袋を使う方法も見かけますが、包むものの違いで日持ちを比べた資料は、当サイトでは確認できていません。

箱に入れるときは、傷のある芋や割れた芋を分けておき、先に使うようにすると安心です。

洗わない・土は軽く落とす程度に

保存するさつまいもは、水で洗わずに置いておきます。理由は2つあります。

ひとつは、表皮を傷つけないためです。表皮の傷は、病原菌の入り口になることがあります。茨城県病害虫防除所の資料は、さつまいもの黒斑病(こくはんびょう)について、土の中の害虫などによる食害の痕から感染し、貯蔵中に発病することが多いとしています。

もうひとつは、濡らさないためです。東北農政局は、水分が多すぎると腐敗するとしています。濡れたまま箱に入れると湿気がこもり、カビや腐敗の原因になりやすくなります。土が気になるときは、乾いた状態で軽く払う程度にしておき、洗うのは調理する直前にしましょう。

なお、「土がついていると、土が芋を守ってくれるので長持ちする」という説明も見かけますが、当サイトではその裏づけとなる資料を確認できていません。土付きのまま保存するのは、洗わずに済み、表皮を傷つけにくいから、と考えるとよいでしょう。

ときどき状態を確かめる|芽・しわ・柔らかい部分・カビ

常温で保存しているあいだは、ときどき箱の中の芋の様子を見てください。家庭では、日数で区切るよりも、芋の状態で判断するほうが現実的です。見ておきたいのは、次のような変化です。

  • 芽や根が出てきた(暖かい場所では出やすくなります)
  • 皮にしわが寄ってきた、全体がしぼんできた
  • 押すと柔らかい部分がある
  • カビが生えている、異臭がする、ぬめりがある
  • 黒い斑点や、くぼんだ黒い部分がある

芽が出た場合、芽そのものに毒性は知られていませんが、芋の状態によっては食べないほうがよいこともあります。詳しくは、さつまいもの芽を解説した記事をご覧ください。黒い斑点や変色には原因がいくつかあり、家庭では見分けが難しいものもあります。さつまいもの黒い斑点を解説した記事で詳しくご説明しています。

カビや異臭、ぬめりがあるもの、柔らかく崩れるものは、食べずに処分してください。黒く変色した部分を切り取って、残りを食べる方法も見かけますが、当サイトではおすすめしていません。黒い変色の中には、低温障害や黒斑病によるものもあり、家庭ではどこまで影響が及んでいるかを確かめる方法がないためです。苦みや、いつもと違う味がしたときも、飲み込まずに食べるのをやめましょう。

また、こうしたサインが見られないからといって、安全が保証されるわけではありません。食中毒の原因となる細菌は、見た目やにおいをほとんど変えないことがあります。いつ買ったか、どこに置いていたかという保存の履歴も、あわせて判断の材料にしてください。

季節ごとの注意|夏・冬・暖房の効いた部屋

同じ家の中でも、季節によって保存に向く場所は変わります。夏や暖房の効いた部屋では暑すぎ、冬の寒い地域では冷えすぎになりやすいためです。ここでは、季節ごとに気をつけたい点と、店頭で買ったさつまいもの扱い方をご説明します。

夏や暖かい部屋|15℃以上で芽や根が出やすくなる

暖かい場所に置くと、さつまいもは芽や根を出しやすくなります。農研機構は、15℃以上では発芽や発根、皮色の劣化などの品質低下が起きるとしています。UC Davis も、15℃を超えると芽が出るのが早まり、重さも減りやすくなるとしています。

夏は、室内でもこの温度を上回りやすくなります。家の中でできるだけ涼しく、日の当たらない場所を探して置きましょう。夏はまとめて買いすぎず、早めに使い切るのが安心です。

夏に店頭に並ぶさつまいもは、前の年に収穫して貯蔵してきたものとは限りません。農畜産業振興機構の2005年の記事では、鹿児島県の指宿地域で、ハウス栽培の新いもが5月下旬から出荷されていると紹介されています。貯蔵してきた芋か新いもかにかかわらず、暑い時期は家で長く置かず、買ったら早めに使うようにしましょう。

暑い時期は冷蔵庫の野菜室に入れたくなりますが、野菜室もさつまいもにとっては低すぎる温度帯です。入れる場合は、短い間だけの一時的な避難先と考えてください(次の章でご説明します)。「室温が15℃を超えたら冷蔵庫へ」と勧める説明も見かけますが、当サイトではおすすめしていません。

冬や寒い地域|10℃を下回らない場所に

冬は、置き場所が冷えすぎないかに気を配ります。日本いも類研究会は、さつまいもは寒さに弱いので気をつける必要があるとし、少し寒い地域では、新聞紙にくるんで発泡スチロールの容器に入れるとよりよいとしています。このときも、密閉はしないよう注意してください。

JAなめがた甘藷部会連絡会は、10℃以下の低温にならないよう保湿して管理することを、長持ちさせるポイントに挙げています。農研機構は、9℃以下で貯蔵すると低温障害のリスクが高まるとしています。暖房を切った夜の台所や玄関、窓際は、冬には10℃を下回ることがあります。

一方で、暖房の効いた部屋は、冬でも15℃を超えることがあります。東北農政局は、さつまいもは水分が多すぎても、乾燥しすぎてもよくないとしています。暖房の風が直接当たる場所は、温度が上がるうえに乾燥もしやすいため、ストーブやエアコンの風が当たらない場所を選びましょう。

店頭のさつまいもは、産地ですでに貯蔵されていることがある

スーパーなどで買ったさつまいもは、収穫されたばかりとは限りません。農畜産業振興機構の2008年の記事によると、さつまいもは出荷のピークが9〜11月で、苗や土壌消毒の技術に加えて、キュアリング(収穫後の傷をふさぐ処理)や貯蔵の技術が進んだことで、1年を通して出荷されるようになっています。新ものがおいしい時期は9〜11月、貯蔵したものがおいしい時期は1〜2月とされています。

千葉県の資料では、産地の貯蔵の方式によって、翌年の3月末から7月末ごろまでを貯蔵の目安としています。店頭に並ぶ芋は、すでに産地で一定期間貯蔵されている場合があり、買ってから家でさらに長く置く必要があるとは限りません。旬と貯蔵による甘さの変化は、さつまいもの旬と、貯蔵・加熱で甘くなる流れを解説した記事でご紹介しています。

冷蔵庫・野菜室での保存|向かない理由と、入れるときの注意

さつまいもは、冷蔵庫での保存に向かない野菜です。JAなめがた甘藷部会連絡会や農畜産業振興機構は、冷蔵庫に入れないよう呼びかけています。日本いも類研究会も、さつまいもは寒さに弱いので気をつける必要があるとしています。ここでは、その理由と、冷蔵庫に入れてしまったときや、どうしても入れるときの考え方をご説明します。

冷蔵室も野菜室も、低温障害が起こりやすい温度帯

冷蔵庫の温度の目安は、冷蔵室が約2〜6℃、野菜室が約3〜8℃です(アイリスオーヤマ)。機種や設定によって違いますが、野菜室の温度でも、農研機構が低温障害のリスクが高まるとする9℃以下や、UC Davis が低温障害に非常に敏感とする12.5℃以下に当たります。

低温障害が起こると、内部が褐色に変わる、腐りやすくなる、しなびる、といった症状が出ることがあります(UC Davis)。低温にさらされた芋を加熱したときに、硬い部分が残ることもあるとされています(同)。シャープも、さつまいもは冷蔵庫ではなく、風通しのよい日陰で保存するよう案内しています。

冷蔵庫は、さつまいもにとって「寒すぎる場所」だと考えておきましょう。冷蔵庫に入れないほうがよい理由は、さつまいもを冷蔵庫で保存してよいかを解説した記事でも詳しくご説明しています。

入れてしまったとき・どうしても入れるとき

冷蔵庫に入れてしまっても、すぐに食べられなくなるとは限りません。ただし、低温障害を受けているかどうかを、外から見て確かめるのは難しいと考えておきましょう。切ったときに内部が変色している、異臭や苦みがある、という場合は食べないでください。

低温障害を受けた芋は腐りやすくなることがあるため(UC Davis)、冷蔵庫に入れていた芋は早めに使い、状態をよく確かめてください。加熱した後に硬い部分が残るときは、低温障害が原因のひとつとして考えられます(同)。冷蔵庫から出した芋は、表面に水滴がつくことがあるため、箱に戻す場合は水気を拭き取ってからにしましょう。

真夏で家の中に涼しい場所がないなど、どうしても冷蔵庫に入れる場合は、冷蔵室ではなく野菜室を選びましょう。そのうえで、短い間にとどめて早めに使い切ってください。野菜室は冷蔵庫の中では温度が高めですが、安全な保存場所ではなく、一時的な避難先です。

切ったさつまいもの保存|ラップで野菜室へ、早めに使う

料理で半分だけ使った、切って余った、というさつまいもは、丸ごとのときとは保存の考え方が変わります。切り口は乾きやすく、傷みやすいため、常温ではなく冷蔵庫で保存します。ここでは、切ったさつまいもの保存方法と、切り口の変色の原因、水に浸けて保存してよいかをご説明します。

切り口をラップで包み、冷蔵庫の野菜室へ

切ったさつまいもは、切り口をラップで包んで、冷蔵庫の野菜室に入れます。農畜産業振興機構は、切ったものは傷みやすいとして、ラップをして野菜室で保存するよう紹介しています。シャープも、半分に切ったものはラップをして野菜室で保存するよう案内しています。

ここまでご紹介した「13〜15℃前後の常温」は、切っていない丸ごとのさつまいもについての目安です。切り口が空気に触れた芋には、同じ考え方は当てはまりません。冷蔵庫に入れても切ったものは長くは持たないと考え、早めに使い切りましょう。何日持つかを示した公的な資料は、当サイトでは確認できていません。

使うときは、切り口が乾いていたり、変色したりしている部分を薄く切り落としてから調理するとよいでしょう。カビやぬめり、異臭がある場合は食べないでください。

切り口が黒く・茶色くなるのはなぜ?

切ったさつまいもの断面は、時間がたつと色が変わることがあります。農林水産省の「消費者の部屋通信」(2024年12月号)は、さつまいもの断面が変色する原因として、次のようなものを挙げています。

  • 切り口からにじむ白い液に含まれるヤラピン(さつまいもの乳液に含まれる樹脂配糖体)が、空気に触れて黒くなる
  • ポリフェノールが、酸化酵素の働きで褐色に変わる(褐変)
  • 鉄分が原因で、黒褐色〜黒色に変わることもある
  • カビや腐敗によるもの

同誌は、切った直後に水に浸けると、変色の防止に有効だとしています。ただし、カビや腐敗による変色もあるため、色の変わった芋を食べるかどうかは、よく観察したうえで判断するよう呼びかけています。迷うときは食べないようにしましょう。白い液と黒い付着物については、ヤラピンを解説した記事でご説明しています。

水に浸けたまま保存してもいい?

切ったさつまいもを、水を張った容器に浸けたまま冷蔵庫で保存する方法も見かけます。農林水産省の「消費者の部屋通信」は、切った直後に水に浸けると変色の防止に有効だとする一方、長く浸けすぎると水溶性のビタミンCが溶け出すので注意が必要だとしています。水に浸けたまま何日も置いて保存した場合を調べた資料は、当サイトでは確認できていません。変色を防ぐために水にさらした後は、水気を拭いてラップで包み、早めに使い切りましょう。

冷凍保存と、加熱したさつまいもの保存

使い切れないさつまいもは、冷凍しておくこともできます。冷凍すれば常温より長く置けますが、家庭の冷凍庫では品質が落ちやすいため、使い切る目安の期間があります。ここでは、生のまま冷凍する方法と加熱してから冷凍する方法、冷凍で味が変わる理由をご説明します。あわせて、焼き芋や蒸し芋など、加熱したさつまいもの保存もまとめます。

生のまま冷凍する/加熱してから冷凍する

さつまいもの冷凍には、生のまま切って冷凍する方法と、蒸したり焼いたりして火を通してから冷凍する方法があります。

生のまま冷凍する例として、パナソニックがレシピで紹介している方法があります(島本美由紀さん監修)。よく洗ったさつまいもを皮つきのまま1.5cm幅のいちょう切りにし、ラップを敷いたアルミのバットに並べて凍らせ、冷凍用の保存袋に移します。使うときは、解凍せずにフライパンに加えて調理しています。なお、このレシピの急速冷凍は、同社の冷凍冷蔵庫の機能(クーリングアシストルームの「急凍」)を使う手順です。

加熱してから冷凍する場合は、蒸したり焼いたりした芋の粗熱が取れたら、小分けにしてラップで包み、早めに冷凍庫に入れます。加熱した芋を、冷ますために常温で長く置かないようにしてください。蒸し方は、さつまいもの蒸し方・ふかし方を解説した記事でご説明しています。

どちらの方法でも、ポイントは、できるだけ早く凍らせて、空気に触れさせないことです。農林水産省は、金属製など熱が伝わりやすい容器に、食品を薄くして並べて凍らせることと、ラップやポリ袋などでできるだけ空気を遮断することを勧めています。

家庭で冷凍したものは、2〜3週間以内を目安に

冷凍したさつまいもも、いつまでも持つわけではありません。農林水産省の「消費者の部屋」は、家庭で冷凍した食品は2〜3週間以内に使い切るよう案内しています。家庭の冷凍庫ではゆっくり凍る「緩慢凍結(かんまんとうけつ)」になりやすく、組織が傷むことや、保存中の品温(食品の温度)の変化によって、品質の低下が早く進むためとしています。これはさつまいもに限らない、家庭での冷凍全般の目安です。

「1か月」を目安とする説明も見かけますが、当サイトでは農林水産省の目安に合わせて、2〜3週間以内に使い切ることをおすすめします。冷凍した日を保存袋に書いておくと、使い忘れを防ぎやすくなります。

解凍の仕方と、冷凍で味が変わる理由

生のまま冷凍したさつまいもは、パナソニックのレシピのように、解凍せずにそのまま加熱調理に使う方法があります。加熱してから冷凍したものは、冷蔵庫で解凍するか、電子レンジなどで温めて食べます。加熱した芋を、常温に長く置いて解凍するのは避けてください。

冷凍したさつまいもは、解凍すると水っぽくなるなど、食感が変わることがあります。家庭の冷凍庫では、ゆっくり凍る緩慢凍結になりやすく、組織が傷みやすいためです(農林水産省)。焼き芋の例ですが、凍らせる速さと氷の結晶の関係は、焼き芋を冷凍したときに味が変わる仕組みを解説した記事と、急速凍結と緩慢凍結の違いを解説した記事で詳しくご説明しています。冷凍した焼き芋の温め方は、冷凍焼き芋の解凍方法を解説した記事をご覧ください。

焼き芋・蒸し芋など、加熱したさつまいもの保存

焼いたり蒸したりしたさつまいもは、生のときとは扱いが大きく違います。加熱した芋を常温に置くのは2時間まで、気温が32℃を超えるときは1時間までを上限の目安にしてください(米国農務省食品安全検査局)。すぐに食べない分は、小分けにして早めに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。

アルミホイルで包んで焼いた芋は、焼き上がったらホイルを外してください。土の中などにいるボツリヌス菌は、熱に強い芽胞(がほう)の状態で加熱を生き残ることがあり、酸素の少ない状態で増えて毒素を作ります(食品安全委員会)。また、温め直しは、常温に長く置いた芋を安全にする方法ではありません。セレウス菌がつくる嘔吐毒(おうとどく)のように、一度できると温め直しても消えない毒素があるためです(食品安全委員会)。

焼き芋の冷蔵・冷凍の日数の目安は焼き芋の日持ちを保存方法ごとに解説した記事、食中毒の注意点は焼き芋の食中毒と保存の注意点を解説した記事でまとめています。

芋掘り・家庭菜園で収穫したさつまいもの保存

芋掘りや家庭菜園で収穫したさつまいもは、店頭で買う芋と違い、掘ったばかりで土がつき、傷も入りやすい状態です。保存する前のひと手間で、その後の傷み方が変わることがあります。ここでは、掘った後の扱い方と、産地で行われるキュアリング、たくさん保存するときの方法をご紹介します。

掘ったら洗わず、表面を乾かしてから保存する

掘ったさつまいもは、水で洗わずに、表面を乾かしてから保存します。洗わない理由は、常温保存の章でご説明したとおり、表皮を傷つけず、濡らさないためです。掘るときにも、スコップなどで芋に傷をつけないよう気をつけましょう。

保存する前の扱い方は、資料によって違います。JAあつぎは、組合員向けの営農の記事で、1〜2日ほど天日干しをして付いた土を払い落とし、その後1週間ほど陰干しをしてから貯蔵する方法を紹介しています。天日干しが長すぎると、日焼けや乾燥しすぎによって品質が落ちるので注意が必要だとしています。

公益財団法人広島市農林水産振興センターが市民菜園向けに公開している栽培ごよみは、霜が降りる前に収穫して12〜15℃で保存するとし、家庭で貯蔵する場合は、芋を一つずつ新聞紙でくるみ、発泡スチロールの浅いとろ箱に入れて暖かい室内に置くとしています。乾かした後は、ここまでご紹介した常温保存と同じように、13〜15℃前後を目標に、10℃を下回らない室内に置いてください。

産地で行う「キュアリング」と、家庭でできること

産地では、収穫した芋の傷口から傷むのを防ぐため、「キュアリング」という処理を行うことがあります。収穫後の芋を高温多湿の環境に数日置き、表皮の傷を自然にふさぐ処理です。農研機構は、温度30〜35℃・湿度90〜99%で3〜4日処理し、その後は13〜14℃・湿度90%前後で貯蔵するとしています。条件は、資料によって幅があります。

家庭で、この温度と湿度を数日保つのは簡単ではありません。無理に再現しようとせず、掘るときに傷がついた芋や割れた芋から先に使うようにするとよいでしょう。

たくさん保存するとき|もみ殻・箱

たくさん収穫したときは、箱にもみ殻を使う方法もあります。JAあつぎは、段ボールや発泡スチロールの箱の底にもみ殻を敷き、その上に芋を置いて、上からもみ殻をかぶせる方法を紹介しています。箱の上部には空気穴を開けておき、12〜15℃の暗い場所に置くとしています。

日本いも類研究会によると、以前は個人による地下穴式の貯蔵が多かったものの、最近では大型の室内(コンテナ)貯蔵が一般的になっています。家庭で土に埋めたり、穴を掘ったりして貯蔵する方法は、家庭向けの資料が少ないため、当サイトでは詳しくご紹介していません。箱で保存するときも、密閉はしないでください。

保存すると甘くなる?|貯蔵と甘さの関係

さつまいもは「しばらく置くと甘くなる」と言われます。実際、収穫後に貯蔵するあいだにも、甘さに関わる変化が起こります。ここでは、貯蔵中に何が起こっているのかと、低温で甘くする方法についての当サイトの考え方をご説明します。

貯蔵中に、でんぷんの一部が糖に変わる

農畜産業振興機構は、収穫後に適度な温度と湿度を保ちながら貯蔵すると、でんぷんがショ糖などに変わり、甘みが増していくと説明しています。焼き芋についての研究でも、貯蔵に伴って甘みが増すことには、貯蔵中に増えるショ糖などの糖が大きく寄与すると報告されています。この研究では、クイックスイートとべにはるかでは、焼くときにできる麦芽糖(マルトース)も大きく寄与していました(安藤ほか、園芸学研究、2018年)。

焼き芋や蒸し芋の甘さには、加熱のあいだにでんぷんから作られる麦芽糖が関わっています。甘さは、貯蔵で増える糖と、加熱で作られる麦芽糖の両方でできあがると考えるとよいでしょう。店頭の芋はすでに産地で貯蔵されていることもあるため、家で長く置くほど甘くなるとは限りません。

冷蔵庫や低温で甘くする方法は、おすすめしない

低い温度に置くと甘くなる、という話もあります。JAなめがた甘藷部会連絡会は、新芋の糖を増やす方法として、10℃以下で1〜2週間貯蔵する低温処理の技術を紹介したうえで、腐敗のリスクも高まるため、処理するときは十分な注意が必要だとしています。

家庭では温度を一定に保つのが難しく、低温障害を起こすおそれもあります。当サイトでは、冷蔵庫や寒い場所に置いて甘くする方法はおすすめしていません。甘さを楽しむなら、13〜15℃前後の常温で保存し、加熱の仕方を工夫するほうが安心です。焼き芋を甘く作るコツは、家で焼き芋を作る方法を器具別に解説した記事でご紹介しています。

よくある質問

さつまいもの保存について、よくある疑問にお答えします。1年保存できるか、りんごと一緒に置いてよいか、新聞紙がないときや冷蔵庫に入れてしまったときの扱いなどを取り上げました。詳しい説明は、各章もあわせてご覧ください。

Q1. さつまいもは1年保存できますか?

家庭で1年保存するのは難しいと考えられます。農研機構の「最適貯蔵条件一覧表」は、13〜15℃・湿度85〜95%で貯蔵した場合の貯蔵限界の目安を4〜7か月としています。UC Davis は、温度12.5〜15℃・湿度90%を超える条件での長期貯蔵で6〜10か月としつつ、品種によっては6か月ほどで芽が出始めるとしています。産地では、こうした条件を整えた施設で貯蔵し、1年を通して出荷されるようになっています(農畜産業振興機構、2008年)。家庭では温度や湿度を一定に保ちにくいため、状態を見ながら早めに使い、長く置きたい分は冷凍を検討しましょう。

Q2. りんごと一緒に保存してもいいですか?

気になる場合は、別の箱や袋に分けておくとよいでしょう。農研機構の「最適貯蔵条件一覧表」では、りんごは植物ホルモンの一種であるエチレンの生成量が「極多」とされています(品種による差もあります=岩手県)。一方、同じ一覧表で、さつまいものエチレン感受性は「低」とされています。UC Davis は、さつまいもがエチレン(1〜10ppm)にさらされると、呼吸やフェノール代謝が増え、加熱した芋の風味や色に悪い影響が出るとしています。農研機構は、エチレンを多く出す品目と、エチレンの影響を受けやすい品目を一緒に貯蔵しないことが大切だとしています。

じゃがいもには、エチレンを使って芽を抑える技術があります(北海道立総合研究機構 十勝農業試験場)。ただし、これはじゃがいもの話で、さつまいもにそのまま当てはめることはできません。さつまいもをりんごと一緒に保存した場合を調べた資料は、当サイトでは確認できていません。

Q3. 新聞紙がないときは、どうすればいいですか?

日本いも類研究会は、家庭では段ボールに入れて置いておけば大丈夫だとしています。新聞紙は、少し寒い地域で発泡スチロールの容器に入れるときの工夫として紹介されています。新聞紙がなくても、段ボール箱に入れて涼しい室内に置き、密閉しないようにしておけばよいでしょう。

Q4. 冷蔵庫に入れてしまったさつまいもは、食べられますか?

短い間であれば、すぐに食べられなくなるとは限りません。ただ、低温障害を受けたかどうかを、外から見て確かめるのは難しいと考えてください。切ったときに内部が変色している、異臭や苦みがあるといった場合は、食べないでください。冷蔵庫での保存についてはさつまいもを冷蔵庫で保存してよいかを解説した記事、変色についてはさつまいもの黒い斑点を解説した記事でご説明しています。

Q5. 芽が出たさつまいもは食べられますか?

さつまいもの芽そのものに、毒性は知られていません。ただ、芽が出たことと、その芋が食べられる状態かどうかは別の問題です。柔らかくなっている、カビや異臭がある、という場合は食べないでください。詳しくは、さつまいもの芽を解説した記事でご説明しています。

Q6. 洗ってしまったさつまいもは、どう保存すればいいですか?

水気をよく拭き取り、表面を乾かしてから保存してください。濡れたまま箱に入れると湿気がこもり、傷みやすくなります。洗うときに表皮に傷がついていることもあるため、早めに使い切るのが安心です。

まとめ

さつまいもの保存方法について、常温・冷蔵・冷凍の使い分けから、季節ごとの注意、切った後や収穫した芋の扱いまでご説明しました。基本は、切らずに丸ごと、涼しい室内で常温保存することです。最後に、要点を整理します。

  • 切っていない生のさつまいもは、13〜15℃前後の涼しい室内で常温保存するのが基本です。少なくとも10℃を下回らない場所に置きましょう
  • 段ボールや発泡スチロールの箱に入れ、密閉はしないようにします。保存する芋は洗わず、ときどき状態を確かめましょう
  • 冷蔵庫は、さつまいもには温度が低すぎます。野菜室も、一時的な避難先と考えてください
  • 切ったものは、切り口をラップで包んで野菜室に入れ、早めに使い切ります
  • 長く置きたい分は冷凍し、家庭で冷凍したものは2〜3週間以内に使い切りましょう。加熱した芋を常温に置くのは、2時間まで(気温32℃超は1時間まで)です

保存について、さらに詳しく知りたいときは、次の記事もあわせてご覧ください。

参考資料

本記事の作成にあたって参照した資料です。