さつまいもの筋が多い原因は何?

はじめに

はじめに

寒い季節になるとホクホク甘い焼き芋が恋しくなりますよね。

しかし、中には「楽しみに焼いたさつまいもが筋っぽくて食べにくかった…」という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

さつまいもの中に感じる筋は、いったい何が原因で生じるのでしょうか?

この記事では、さつまいもに筋(繊維)が多くなる理由や見分け方、筋っぽい芋を美味しく調理する工夫、さらに繊維質の栄養面についてまでわかりやすくご説明したいと思います。

さつまいもの筋って何?どんな状態?

さつまいもの筋・繊維って何?どんな状態?

さつまいもを切ったときに見えるスジは、塊根内の維管束などの構造に由来します。

口に残る繊維感は、セルロース、ヘミセルロース、ペクチンなどを含む食物繊維の影響です。

特に皮のすぐ内側や、芋の中心部に走る維管束(いわゆるスジ)の部分に多く含まれており、加熱調理しても柔らかくならずに残ることがあります。

このため、繊維が多い芋を食べると舌触りがザラザラしたり、噛んでも少し硬い筋が口に残ったりします。

一方、繊維が少ない芋はしっとり滑らかな食感で、噛んだときにも筋っぽさを感じにくいのが特徴です。

では、そもそもなぜ同じさつまいもでも繊維の多さに違いが出るのでしょうか?

次の章では、さつまいもに筋が多くなってしまう原因について掘り下げてみます。

さつまいもに筋が多くなる主な原因

さつまいもの繊維の量は品種や育ち方、環境によって大きく影響を受けます。

一般にホクホクした食感の品種(栗みたいな食感の品種)は繊維質がやや多めで、ねっとり系の品種は繊維が少なくしっとり滑らかな傾向があると言われることがあります。

ただ、品種によって筋の感じ方に差はありますが、実際にはホクホク・ねっとりの違いは主にでんぷん含量や組織崩壊性などの影響が大きく、繊維量だけで一律に説明することはできません。

参考

以下に、筋っぽいさつまいもになってしまう主な原因をまとめました。

高温や栽培ストレス

高温や栽培ストレス

さつまいもは暖かい気候を好みますが、真夏の猛暑が続くような環境ではストレスを受けて品質に悪影響が出ることがあります。

特に、生育期間中に極端な高温にさらされると、芋の形がいびつになったり筋っぽいものが多くなったりする障害が報告されています。

これは高温ストレスで芋の組織が硬くなり、繊維質が発達してしまうためと考えられます。

同様に、水はけが悪く長雨が続いた畑や、干ばつなど極端な水分ストレス下でも、生育不良から繊維質が増える可能性があります(適度な水分管理が大切です)。

肥料の与えすぎ(栽培環境)

さつまいもは肥料が少ないやせ地でも育つ作物で、「地力があって肥料分の少ない土で作れ」と昔から言われるほどです。

肥料を与えすぎるとツルや葉ばかり茂って肝心のイモに養分が行き渡らず、繊維質が増えて筋っぽい芋になりやすくなります。

また、カリウム肥料の種類にも注意が必要です。塩化カリ(塩素を含むタイプのカリ肥料)を使った場合、さつまいもの繊維(筋)が多くなることが報告されています。(※参考:みんなの農業広場『サツマイモを収穫しましたが、すじが多く、おいしくありません。何が原因でしょうか。』)

収穫の時期

畑で育てる場合、収穫が遅れ過ぎて育ちすぎたさつまいもも筋張りやすいと言われます。

長期間土の中に置かれて成熟しすぎた芋は、肉質が木質化して硬くなり、繊維が目立ってしまう場合があります。

適切な時期に収穫することで過度な繊維の増加を防ぎ、柔らかく品質の良いさつまいもを確保できます。


以上のように、さつまいもが筋っぽくなる背景には栽培条件(肥料・気候)、収穫タイミングなど様々な要因があります。

一度筋張った芋になってしまうと元には戻せませんが、次に紹介するポイントを押さえれば、買うときや調理するときに対処することができます。

筋っぽいさつまいもの見分け方

「繊維が多い芋かどうか」は、切ってみないと分からない部分もありますが、実は外見や形である程度見分けるポイントがあります。

購入時や家庭菜園で収穫した芋を仕分ける際に参考になる、繊維の多い芋の特徴と少ない芋の特徴をまとめました。

繊維が多く筋っぽい芋の特徴

繊維が多く筋っぽい芋の特徴

表皮に注目してください。

筋っぽいさつまいもは表面のひげ根(細い根)の跡が多く、くぼみが深くなっているものが目立ちます。

また形が細長かったり小ぶりで瘦せた芋も、中まで筋張っている可能性が高いです。

皮をむいたときに皮が分厚くゴツゴツした感じの芋も、成熟しすぎて繊維質が発達しているかもしれません。

もし断面が見えるなら、断面に筋状の線が多数見える芋は繊維が多い傾向があります。

繊維が少なく良質な芋の特徴

ずっしりと重みがある芋は水分やデンプンをしっかり蓄えており、比較的繊維が少なくしっとりしています。

形は太くて丸みがあるずんぐりしたものの方が、細長いものより筋が少ない傾向です。

表面は傷が少なく滑らかで皮にツヤがあるものを選びましょう。

新鮮な芋は皮にハリがあり、触ったとき固く締まっている感じがあります。

なお香りもヒントになります。ほんのり甘い香りがする芋は糖度が高く品質が良い証拠です。


以上をまとめると、「太くて重く、表面が滑らかな芋」は繊維少なめで当たり、逆に「細長くヒゲ根痕が多い芋」は繊維多めの可能性が高いと言えます。

ぜひお店で焼き芋用のさつまいもを選ぶときは、形や表面の様子をチェックしてみてください。

それでも実際に切ってみるまで完全には分からないものなので、次はいざ筋張ったさつまいもだった場合においしく食べる方法を見ていきましょう。

繊維が多いさつまいもも美味しく食べる調理のコツ

繊維が多いさつまいもも美味しく食べる調理のコツ

繊維質の多いさつまいもでも、調理方法を工夫すれば硬さやパサつきを感じにくく、美味しくいただくことができます。

専門家の視点から、筋っぽさを和らげる調理のコツをいくつかご紹介します。

筋っぽさを和らげる調理のコツ
  • じっくり加熱する: 低温からじっくり加熱すると、70〜80℃付近でβ-アミラーゼが働きやすくなり、でんぷんが麦芽糖に変わって甘みが増しやすくなります。

水分を加えて調理する
  • 水分を加えて調理する: 調理の途中で少量の水や牛乳、バターなどを加えてみましょう。適度な水分と油分が加わることで繊維質がほぐれやすくなり、パサつきを抑えてしっとりした仕上がりになります。例えばさつまいもご飯を炊くときは水をやや多めに加えたり、マッシュポテトにする際は牛乳やバターを混ぜ込むと良いでしょう。
  • 裏ごし・ペースト状にする: 筋っぽさがどうしても気になる場合は、加熱したさつまいもをミキサーにかけたり裏ごししてペースト状にするのがおすすめです。スイートポテトやポタージュスープに加工すれば、繊維のざらつきを感じない滑らかな舌触りになります。お子様やご高齢の方でも食べやすくなりますね。
糖や油を使った料理に活用
  • 糖や油を使った料理に活用: 繊維が多い芋は、水分が少なく甘みもやや控えめに感じることがあります。そこで砂糖を加えて煮る「甘露煮」や、衣をつけて揚げる天ぷらなどにすると、繊維の食感が気になりにくくなり美味しく食べられます。油でコーティングすることでパサつきが軽減し、甘みも補えます。ただし揚げ物の場合は高温短時間で加熱するため、あらかじめ下茹でして柔らかくしておくとより安心です。
電子レンジの使い方に注意
  • 電子レンジの使い方に注意: 手軽な電子レンジ調理ですが、加熱しすぎると水分が飛んで繊維質が余計パサパサ&硬くなってしまいます。レンジで加熱する際は少しずつ様子を見て、竹串が通る程度になったら取り出すようにしましょう。また最初に軽く水を振ってラップで包む、途中で一度取り出して全体をひっくり返すなど、ムラ無く加熱する工夫をすると繊維部分も固まりにくくなります。

このように、繊維が多いさつまいもでも調理法次第でおいしく変身させることができます。

特にじっくり加熱+水分補給でしっとり仕上げる方法は焼き芋好きにはぜひ試していただきたいポイントです。 

また、どうしても筋が気になる部分は思い切って取り除き、残りを料理に使うという手もあります。

せっかく手に入れたさつまいもですから、工夫して余すところなく味わいたいですね。

保存方法による繊維質の変化にも注意

保存方法による繊維質の変化にも注意

実は、収穫後の保存方法や期間によってもさつまいもの食感が変化し、繊維の感じ方が違ってきます。

買ってきたさつまいもを美味しく保つために、適切な保存のコツも押さえておきましょう。

  • 常温保存が基本: さつまいもは熱帯原産の野菜なので寒さに弱く、冷蔵庫に入れると傷みやすいです。最適な保存温度は10〜15℃前後の涼しい場所で、風通しが良く直射日光の当たらないところに置くのが理想です。新聞紙に一本ずつ包んで段ボール箱に入れ、室内の冷暗所に置いておくと良いでしょう。
  • 低温障害に注意: 丸ごとのさつまいもは新聞紙に包み、10℃を下回らない冷暗所で保存します。目安は13±1℃で、10℃以下では低温障害、15℃以上では萌芽しやすくなります。寒冷地の方や真冬の保存には、屋内でも冷えすぎない場所に置く工夫が必要です。
  • 長期保存は避ける: 常温で保存していると、時間の経過とともに芋の水分が抜けていきます。長く置きすぎたさつまいもは繊維が硬く感じられることがあります。買ってからあまり日が経つと、せっかく増した甘みよりも筋っぽさが勝ってしまうかもしれません。だいたい1〜2週間程度を目安に使い切るのがおすすめです。使いきれない場合は、生のままよりも加熱調理してから冷凍保存した方が風味や食感の劣化を防げます。

適切な保存をすることで、さつまいもの美味しさを長持ちさせるだけでなく、筋っぽさを感じにくい状態を保つことができます。

買ってすぐ食べない場合も、上記のポイントを参考に保管してみてください。

繊維質は体にいい?さつまいもの栄養面

繊維質は体にいい?さつまいもの栄養面

「筋(繊維)が多いさつまいもなんてハズレだ…」とがっかりする方もいるかもしれませんが、実はさつまいもの繊維質は私たちの健康にとって嬉しい成分でもあります。

ここでは繊維に注目して、さつまいもの栄養面の豆知識をご紹介します。

さつまいもには食物繊維が豊富に含まれています。

日本食品標準成分表(八訂増補2023年)では、皮なしの焼きいも100g当たりの食物繊維総量は4.5gです。

皮つきで食べると食物繊維をより取りやすくなります。(※焼き芋の皮に関しましては『焼き芋の皮は食べるべき?栄養たっぷりの皮までおいしく食べる方法と注意点』のページで詳しくご説明していますので、ご参照ください。)

食物繊維の目標量は年齢・性別で異なりますが、成人ではおおむね男性20g以上、女性18g以上が目安です。

食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があります

食物繊維には不溶性水溶性の2種類がありますが、さつまいもには不溶性食物繊維が多く含まれつつ、水溶性もバランス良く含まれている点が特徴です。

不溶性食物繊維は腸内で水分を吸って膨らみ、腸を刺激してお通じを促す作用があります。

便秘がちの方には強い味方ですね。

一方、水溶性食物繊維は胃腸でゲル状になり、糖質の吸収をゆるやかにして血糖値の急上昇を抑える働きがあります。

つまりさつまいもの繊維質は、整腸効果や食後の血糖値コントロールに役立つ健康的な成分なのです。

さらに、さつまいもにはビタミンCやビタミンE、カリウム、ポリフェノール(アントシアニン)など他の栄養素も豊富に含まれています。

ビタミンCは加熱しても損なわれにくく、焼き芋でもしっかり摂取できるのは嬉しいポイントです。

食物繊維と合わせてこれらの栄養をまるごと取るためにも、筋が気にならない範囲でさつまいもの皮ごと食べるのもおすすめですよ。

ただし、食物繊維が体に良いからといって食べ過ぎには要注意です。

さつまいもに豊富な不溶性繊維は、摂り過ぎるとかえってお腹が張ったり便が硬くなることもあります。

おいしいからと一本丸々毎日…ではなく、適量を楽しみつつ水分も十分に取るようにしましょう。

(※さつまいもの食物繊維に関しましては『さつまいもの食物繊維|水溶性・不溶性のバランスと腸活効果』のページで詳しくご説明していますので、ご参照ください。)

まとめ

まとめ

さつまいもに筋が多い理由や対処法について、まとめてご紹介してきました。

繊維が多い原因は品種の特徴や肥料の過多、高温などの栽培環境、収穫の遅れなど様々ですが、一消費者としてはまず形や見た目で繊維質っぽい芋を見極めることが大切です。

そして、もし手にしたさつまいもが筋ばっていても落胆しないでください。

調理法の工夫(ゆっくり加熱・水分追加・ペースト化など)で筋っぽさはかなり緩和でき、むしろ食物繊維たっぷりのヘルシーなおやつになります。

繊維質の多いさつまいもは、言い換えれば「食物繊維の宝庫」です。

上手に調理すれば、体にも嬉しい栄養を摂りながら甘くてホクホクの味わいを満喫できます。

ぜひ今回のポイントを参考に、筋の多いさつまいもも敬遠せず 丸ごとおいしく味わってみてください。

サツマイモに含まれている栄養素や甘くなる仕組みをご紹介します。

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