「あめんどろ」とは?

「あめんどろ」とは

「あめんどろ」とは

あめんどろとは、鹿児島県南薩摩地方に古くから伝わるサツマイモ由来のシロップ(芋蜜・芋水飴)のことで、地元の方言でその芋蜜を指す言葉です。

南薩摩半島では江戸時代からサツマイモを煮詰めて作る芋飴が伝統的に作られており、春の節句には蓬餅(よもぎ餅)にこの芋蜜をかけて食べる風習が受け継がれてきました。

近年では、地元の企業が芋蜜職人(芋蜜屋)として5代目の伝統を継承しつつ、新たな製法で100%サツマイモだけを原料にした無添加のシロップ「あめんどろ純芋蜜」を商品化しています。

2013年の「かごしまの新特産品コンクール」では食品部門で「鹿児島県特産品協会理事長賞」を受賞し、同年11月の「第6回 鹿児島県新加工食品コンクール」では大賞(県知事賞)を受賞、2015年のミラノ万博「世界洋菓子コンテスト」ではこの芋蜜を使ったスイーツが優勝するなど、日本の伝統自然食品として国内外から注目を集めています。(参考:かごしまの食ウェブサイト『あめんどろ純芋蜜』)

では、この「あめんどろ」とは具体的にどのような甘味料なのか、その特徴や使い方、栄養面でのメリットについて詳しく解説します。

あめんどろの由来と製法

あめんどろの由来

南薩摩半島ではサトウキビから作る砂糖が貴重だった歴史的背景もあり、身近に豊富にあったサツマイモを代用甘味料として活用してきました。

「あめんどろ」という名前は、南薩摩の方言で芋飴(いもあめ)を指し、その名の通りサツマイモから作った蜜のことです。

江戸時代に薩摩藩で考案されたともいわれ、薩摩では「唐芋(からいも)」=サツマイモを使った郷土の甘味料として広く親しまれてきました。(起源は寛政年間頃とする説明もあります。)

春の行事には蓬(よもぎ)餅にかけて食べる習慣があり、「よもぎ餅とあめんどろ」は南薩摩の春の風物詩とされています。

伝統的な芋飴には麦芽を用いるタイプもありますが、流通している「純芋蜜」は原材料をさつまいも100%とし、蒸し・攪拌後に糖化させ、さらに水分が約20%になるまで煮詰めて仕上げる製法が紹介されています。

サツマイモ自体が持つ酵素などを用いてデンプンを麦芽糖などの糖分に変え、添加物を一切使わずに甘みを引き出す伝統的な手法です。

糖化が進んだらさらに水分が約20%程度になるまでじっくり煮詰め、とろみのある濃厚な蜜状に仕上げます。

できあがった芋蜜は美しい琥珀色をしており、ほどよい粘度でスプーンから糸を引くような濃厚さです。

あめんどろの栄養価と健康効果

こうして完成するあめんどろ(芋蜜)は100%サツマイモ由来

砂糖や水あめを一切加えずに作られるため、サツマイモ本来の自然な甘みとコクが凝縮されています。

現代では鹿児島の生産者が大学との共同研究でこの伝統製法を改良し、世界でも類を見ない純粋なサツマイモシロップの開発に成功しています。

その結果誕生した「あめんどろ純芋蜜」は、2019年に一般財団法人食品産業センターから日本各地の伝統食品に与えられる「本場の本物」認証も取得しています。(参考:本場の本物ホームページ『南薩摩のあめんどろ』)

このようにあめんどろは、薩摩の知恵と工夫から生まれた伝統甘味料であり、現在も昔ながらの製法と最新技術の融合によって作られ続けているのです。

あめんどろの栄養価と健康効果

あめんどろの栄養価と健康効果

あめんどろは栄養面でも注目されています。

他の一般的な甘味料(白砂糖や蜂蜜)と比べて、サツマイモ由来ならではの食物繊維やポリフェノールを豊富に含む点が大きな特徴です。

以下に100gあたりの栄養成分を比較した表を示します。

甘味料      エネルギー(100g)炭水化物(糖質)食物繊維主な特徴・成分
あめんどろ(芋蜜・紅はるか)約282 kcal約69.5 g(糖質60.6 g)8.9 gポリフェノール豊富(蜂蜜の約10倍)、カリウムなどミネラル含有、抗酸化力高い
蜂蜜 (はちみつ)約329 kcal約81.9 g(ほぼ糖質)0 gビタミンや酵素を微量含むが食物繊維は皆無。ポリフェノール・抗酸化成分も含むが芋蜜より少ない
上白糖(白砂糖)約391 kcal約99.3 g(ほぼ糖質)0 g純粋なショ糖。栄養素・機能性成分はほとんど含まれない

上の表から分かるように、あめんどろは食物繊維を約8~9%も含んでおり、これは蜂蜜にはほとんど含まれない量です(蜂蜜の食物繊維は0g)。

実際、鹿児島県の資料によれば「あめんどろは蜂蜜と比べて食物繊維含量が約30倍」にもなるとされています。

食物繊維が多い分、あめんどろの糖質量(利用可能炭水化物)は約60g/100gと抑えめで、同量の蜂蜜(約80g)や砂糖(約99g)に比べて可食糖質が少ないのです。そのためエネルギー(カロリー)も蜂蜜より低く、甘味料としては比較的低糖質・低カロリーと言えます。

また、ポリフェノールなどの機能性成分も豊富です。

特に紫芋を原料とした「あめんどろ純芋蜜 紫」ではサツマイモ由来のアントシアニン系ポリフェノールが多く含まれ、蜂蜜の約10倍のポリフェノール量との分析結果も報告されています。

生産者データでは、総合的な抗酸化力(DPPHラジカル消去能)は蜂蜜の9~36倍にも達するというデータもあり、体の酸化ストレスを抑える効果が期待できます。

こうした抗酸化作用やポリフェノールは、健康維持や美容面で注目される要素であり、あめんどろは「体がサビつくのを防ぐ甘味料」とも称されています。

実際、鹿児島県の資料でも「ハチミツ等と比較し抗酸化力、食物繊維量、ポリフェノール量で各段に勝る、体にもやさしい素朴な伝統自然食品」と評価されています。

もう一つの利点は血糖値への影響が穏やかと考えられる点です。

原料のサツマイモ自体が低GI食品(緩やかに血糖値を上昇させる食品)として知られているため、そこから作られる芋蜜も砂糖や蜂蜜に比べて血糖値の急上昇を抑えやすい可能性があります。(※さつまいものGIに関しましては『焼き芋のGI値は高い?低い?|焼き芋のGI値をわかりやすく解説』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

ただし糖質自体はしっかりありますので、摂り過ぎればカロリーも糖質も増える点は通常の甘味料と同様です。

適量を守って賢く活用することが大切です。

完全植物性

加えて、あめんどろは蜂蜜と異なり動物由来ではない植物性のシロップなので、蜂蜜にあるようなボツリヌス菌の心配は少ないと言えますが、乳児に与える食品全般は慎重に判断し、心配な場合は小児科医へ相談するのが安心です。

また完全植物性なのでヴィーガンの方の甘味料としても適しており、卵・乳を使わないスイーツなどでも重宝されています。

このように、あめんどろは栄養機能性と安全性の両面から見ても優れた特徴を持つ甘味料と言えるでしょう。

あめんどろの使い方

あめんどろの味わいは、まろやかで優しい甘さが特徴です。

砂糖のような鋭い甘みではなく、コクがありつつも後味はすっきりとした自然な甘味なので、様々な食材と相性が良いとされています。

伝統的な食べ方では、先述の通り鹿児島では蓬餅に絡めて春のお祝いに供されてきました。

トロリとした芋蜜が香り豊かな蓬餅に絡むと、素朴ながら深みのある味わいになります。これはまさに南薩摩ならではの郷土の味と言えるでしょう。

現代では蜂蜜と同じように幅広い用途で楽しむことができます。

パンやホットケーキにかけて
  • パンやホットケーキにかけて: バターを乗せたトーストやパンケーキに蜂蜜代わりにあめんどろを垂らすと、上品な甘さが生地に染み込みます。上の写真のようにホットケーキにたっぷりかければ、リッチなスイーツ感を味わえます。
  • ヨーグルトやアイスに: プレーンヨーグルトにシロップとして垂らしたり、バニラアイスにかければ、ヘルシーさと贅沢感を両立できます。サツマイモ由来のコクが乳製品と合わさり、デザートの満足度を高めます。
お餅や団子に絡めて
  • お餅や団子に絡めて: きな粉餅や白玉団子にかければ、みたらし風とはひと味違う自然な甘みの和スイーツに。特に焼いたお餅との相性は抜群で、醤油とはまた異なる優しい甘さを楽しめます。
飲み物に入れて
  • 飲み物に入れて: 紅茶やミルクに甘味をつけたい時にも使えます。ハチミツティーならぬ「あめんどろティー」は、ほのかな芋の風味が紅茶にマッチします。ホットミルクに入れればスイートポテトラテのような風味に。
  • 料理の調味料に: ドレッシングや煮物の隠し味として使うのもおすすめです。例えば醤油ベースのドレッシングに少量加えるとコクと照りが増し、肉じゃがなど煮物に砂糖代わりに使えば優しい甘みで素材の味を引き立てます。砂糖より水分が多く焦げにくい性質を活かし、照り焼きのタレなどにも利用できます。

このように、あめんどろは日常のあらゆるシーンで砂糖や蜂蜜の代替として使える万能甘味料です。

使い方は基本的に蜂蜜と同様ですが、あめんどろ特有のほんのり薩摩芋の風味と優しい甘みが料理やスイーツに奥深さを与えてくれます。

「いつものお砂糖や蜂蜜をあめんどろに置き換えてみたら、新しい美味しさに出会えた」という声も多く、家庭料理からプロのスイーツまで幅広く活用されています。

事実、鹿児島では芋蜜を使ったフィナンシェやタフィー(芋蜜入りキャラメル)などの新商品開発も進められており、伝統素材でありながら現代の洋菓子・和菓子にも新風を吹き込んでいます。

なお、あめんどろの入手方法ですが、現在では生産地である鹿児島県内だけでなく、日本全国から取り寄せが可能です。

地元の道の駅や物産館、アンテナショップでは瓶詰めの純芋蜜が販売されているほか、通信販売(オンラインショップ)やふるさと納税の返礼品として取り扱われている例もあります。

あめんどろの保存のコツ

賞味期限は製造日から約2年と比較的日持ちし、常温保存ができるため、まとめ買いして少しずつ使うこともできます。

とろみが強く冷えると固くなることがありますが、その際は湯煎で温めると元の滑らかな状態に戻ります。

最後まで砂糖のようにジャリジャリせず滑らかに溶けるのも芋蜜の良いところです。

まとめ

まとめ

以上見てきたように、あめんどろは鹿児島・南薩摩に伝わるサツマイモ由来の伝統甘味料であり、その独特な製法と栄養価の高さから現代においても再評価されています。

砂糖や蜂蜜に比べて食物繊維やポリフェノールが豊富で、低糖質・低カロリーかつ抗酸化作用にも優れることから、健康志向の方にも嬉しい特徴を持っています。

優しい甘さとコク深い風味は和洋問わず様々な料理・スイーツに活用でき、「体にやさしい天然の甘味料」として子供からお年寄りまで安心して楽しめます。(※1歳未満の乳児の食事については注意事項があるため、蜂蜜同様に慎重に取り扱い、必要に応じて医師に相談してください。)

かつて薩摩の地で育まれた芋蜜文化は、現代の技術とニーズに合わせて進化しながらも、その素朴で豊かな味わいは変わらず受け継がれています。

もし普段のお料理やお菓子作りにひと味違う甘みが欲しいと感じたら、ぜひあめんどろを試してみてはいかがでしょうか。

伝統の知恵から生まれたこの芋蜜が、きっと新たな美味しさと健康的な満足感をもたらしてくれると思います。

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