さつまいものポリフェノールの効果とは?

さつまいもの「ポリフェノール」

さつまいもの「ポリフェノール」

さつまいもは栄養密度が高い食材として知られています。

NASAでも長期ミッションに向けて、宇宙で栽培できる食料作物の候補としてジャガイモやサツマイモ、小麦、大豆などが検討されています。

ただし、さつまいも単体で必要な栄養をすべて満たす「完全食」という意味ではなく、主にエネルギー(炭水化物)を供給できる点が評価されています。

エネルギー源となる糖質が豊富なだけでなく、ビタミンCやカリウム、食物繊維など健康や美容の強い味方となる多様な栄養素を含んでいます。

さらに見逃せないのが、ポリフェノールと呼ばれる植物由来の機能性成分です。

ポリフェノールは植物の苦味や色素の成分であり、強い抗酸化作用をもつ物質として知られています。

お茶のカテキン、大豆のイソフラボン、ブルーベリーのアントシアニンなど多くの種類がありますが、さつまいもにも特有のポリフェノールが含まれているのです。

さつまいもに含まれる代表的なポリフェノール成分はクロロゲン酸アントシアニンです。

クロロゲン酸は全てのさつまいもに含まれる主要ポリフェノールで、アントシアニンは果肉が紫色の紫芋(むらさきいも)品種に特有のポリフェノールです。

これらの成分は近年、健康維持や美容への効果が期待されており、さつまいもがただおいしいだけでなく機能性面でも注目される大きな理由となっています。

以下の表は、さつまいもに含まれるポリフェノール量の目安を他の食品と比較したものです。

コーヒー1杯分のポリフェノール量に匹敵

さつまいもは100g中に平均228mgものポリフェノールを含有しており、これはコーヒー1杯分のポリフェノール量(約55~240mgのクロロゲン酸)に匹敵する高い数値です。(参考:『サツマイモの栄養機能成分と焼き芋の美味しい焼き方理論』)

特に品種によってはさらに多くのポリフェノールを含むものもあり、紫芋のようにアントシアニンを豊富に含むものも存在します。

以下は文献に報告された参考値です。

クロロゲン酸(フェノール酸)と、アントシアニン(紫色の色素成分)はどちらもポリフェノールですが、測定方法などが異なるため、数値を単純比較する際は注意が必要でが、参考までに表にまとめました。

食品・品種(可食部100gあたり)ポリフェノール含有量の目安主なポリフェノール成分
さつまいも(平均的な品種)約228 mgクロロゲン酸(主に皮付近)
さつまいも(ポリフェノール高含有の一例:ベニアカ)約321 mgクロロゲン酸
紫芋(品種例:アヤムラサキ)約369 mgアントシアニン(アヤムラサキ種)
コーヒー(抽出液150mL程度)約55~240 mgクロロゲン酸

※上記数値は文献報告に基づく参考値で、品種や調理法によって変動します。

このように、さつまいもはポリフェノールの含有量が多く、コーヒーやベリー類にも劣らないポリフェノール源といえます。

では、具体的にさつまいもに含まれるクロロゲン酸とアントシアニンがどのような効果をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。

ポリフェノール① クロロゲン酸

ポリフェノール① クロロゲン酸

クロロゲン酸はさつまいもに最も多く含まれるポリフェノールで、さつまいもの皮付近に分布しています。

切ったさつまいもの断面が時間とともに黒ずむのは、このクロロゲン酸が酸化酵素によって変色するためですが、実はこれはポリフェノールが豊富な証拠でもあります。

クロロゲン酸自体はコーヒー豆にも含まれる成分で、ほのかな苦味の元となる物質です。

クロロゲン酸の効果

【クロロゲン酸の効果1】抗酸化作用

クロロゲン酸の健康・美容効果として特に知られているのが、抗酸化作用です。

抗酸化作用とは、体内で発生する過剰な活性酸素を除去・抑制する働きのことで、これにより細胞の老化や生活習慣病の原因となる酸化ストレスを和らげる効果が期待できます。

つまり、クロロゲン酸を含むさつまいもを食べることはアンチエイジング(老化防止)や病気予防に役立つ可能性があるのです。

【クロロゲン酸の効果2】糖の吸収を穏やかにする作用

さらにクロロゲン酸には、糖の吸収を穏やかにする作用脂肪の蓄積を抑える効果が報告されています。

食事から摂った糖分が急激に吸収されるのを遅らせることで食後血糖値の上昇を緩やかにし、肥満の原因となる脂肪の蓄積を抑制してくれるため、血糖値のコントロールや体重管理(ダイエット)にも有用な成分です。

実際、クロロゲン酸はその効果から肥満予防サプリメントなどにも利用されています。

ただし、研究は短期・小規模のものも多く、通常の食品(さつまいも)を日常量食べるだけで同程度の効果が確実に得られるとまでは言い切れません

健康的な体重管理は、食事全体のバランスや総摂取エネルギーとあわせて考えることが大切です。

【クロロゲン酸の効果3】メラニン生成の抑制効果

美容の観点では、クロロゲン酸のもう一つの注目すべき作用としてメラニン生成の抑制効果があります。

メラニン色素はシミ・そばかすや日焼けの原因となる色素ですが、クロロゲン酸(およびその類縁体)について、細胞試験などでメラニン生成や関連酵素に影響を与える可能性が報告されています。(ただし、食品として摂取した場合にシミが減る/美白につながるといった臨床的効果は、現時点で十分に確立しているとは言えません。)

クロロゲン酸は皮に近い部分に多く含まれるため、後述しますができるだけ皮ごと調理・飲食するのがおすすめです。

例えば焼きいもにすると、皮の焦げた香ばしい匂いがコーヒーの香りに少し似ることがありますが、これはクロロゲン酸由来の香りともいわれます。

香りまで楽しみながら、健康効果も期待できるのは嬉しいポイントですね。

ポリフェノール② アントシアニン

ポリフェノール② アントシアニン

アントシアニンはポリフェノールの一種で、さつまいもの中でも紫芋(紫色の果肉をもつ品種)に豊富に含まれる色素成分です。

紫芋の鮮やかな紫色はこのアントシアニンによるもので、植物が自らを紫外線などから守るために作り出す天然の色素でもあります。

さつまいもには16種類以上ものアントシアニンが含まれており、そのうち8種類はアシル化アントシアニンという構造を持っています。

このアシル化アントシアニンは非常に熱や光に安定で、他の植物由来のアントシアニンに比べても調理や保存で失われにくいという特長があります。

そのため、紫芋は加熱調理しても豊富なアントシアニンを効率よく摂取でき、食品の着色料として利用しても高い抗酸化効果が期待できる「スーパーフード」と言えるでしょう。

アントシアニンについては、抗酸化・抗炎症などの観点から研究が多く、紫芋由来成分についても検討が進んでいます。

紫芋に多く含まれるアントシアニン

紫芋に含まれるアントシアニン量は非常に多く、例えばアヤムラサキという品種では100g中に約369mgものアントシアニンが含まれるとのデータがあります。

これはブルーベリーなど他の紫色の果物にも匹敵する含有量です。

日常的に紫芋を食べることで、こうした高濃度のアントシアニンを手軽に摂取できます。

紫芋は焼き芋やスイートポテトだけでなく、スープやサラダ、スイーツの材料としても使えます。

以下に「可能性が示唆されている効果」も含めてアントシアニンの期待される効果をご紹介します。

アントシアニンの効果

【アントシアニンの効果1】目の機能改善

アントシアニンによって期待される代表的な健康効果としてまず挙げられるのが、目の機能改善です。

アントシアニンについては、視機能や眼精疲労に関する研究報告があります。

ブルーベリーが「目に良い」と言われるのはアントシアニンのおかげです。(※ただし、研究対象となる素材(ブルーベリー等)や摂取形態・量は様々で、紫芋由来アントシアニンで同程度の効果が一貫して確認されているとまでは言い切れません。)

アントシアニンは、暗いところで視力を回復させる力(暗順応)を高めたり、目のピント調節機能を改善する働きが報告されており、パソコン作業やスマホで目を酷使しがちな現代人にとって嬉しい成分です。

【アントシアニンの効果2】抗酸化作用

抗酸化作用もアントシアニンの大きな強みです。

活性酸素の除去による生活習慣病予防アンチエイジング効果はクロロゲン酸同様に期待できますが、紫芋にはそれ以外にもユニークな作用が報告されています。

例えば、紫サツマイモ(例:アヤムラサキ)由来のアントシアニンを含む飲料・抽出物については、ヒト試験で血圧や肝機能マーカーに関する変化が報告された例があります。(参考:農林水産・食品産業分野産学連携支援サイト『肝機能改善効果を有する 紫サツマイモジュースの開発』)

お酒をよく飲む方や肝臓の健康が気になる方にも、紫芋は頼もしい味方となるかもしれません。

また、紫芋のアントシアニン摂取によってメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防効果も示唆されています。

肥満や高血糖・高血圧などのリスク低減につながる可能性があり、生活習慣病予防に貢献すると期待されています。

【アントシアニンの効果3】アレルギー症状(花粉症など)の緩和

もう一つ興味深い報告として、紫芋由来成分には、抗炎症や免疫に関する研究報告があります。

一方で、花粉症などの症状が食事としての紫芋摂取で明確に改善するかは、現時点では十分なヒトデータがそろっているとは言えませんので、今後の研究が期待されるテーマと言えると思います。

春先の花粉症に悩む方にとって、紫芋を食べることで症状緩和の一助になる可能性があるのは嬉しいニュースですので、研究が進むのが楽しみです。

さつまいものポリフェノールを効率よく摂るための3つのコツ

さつまいものポリフェノールを効率よく摂るためのポイント

せっかく優れたポリフェノールを含むさつまいもでも、調理法や食べ方次第ではその恩恵を十分に受けられない場合があります。

そこで、さつまいものポリフェノールを効率よく摂取するためのポイントを押さえておきましょう。

【コツ1】皮ごと食べるのがおすすめ

【コツ1】皮ごと食べるのがおすすめ

サツマイモのポリフェノールは、部位によって含有量に差があり、皮に近い部分(周皮・表皮側)で多くなることが報告されています。

つまり厚く皮をむいてしまうとポリフェノールの大半を捨ててしまうことになります。

皮にはクロロゲン酸やアントシアニンなど抗酸化作用を持つ成分が多く含まれるほか、食物繊維も皮付きの方が多く摂れます(例えば食物繊維は皮なし100g中約2.2gに対し、皮付きでは約2.8gに増加します)。

カロリーは皮を食べてもほとんど変わりませんので、栄栄養を意識する場合は、衛生面に配慮してよく洗ったうえで、皮を薄めにする・皮ごと調理するなどの工夫をしてみましょう。

(※焼き芋の皮に関しましては『焼き芋の皮は食べるべき?栄養たっぷりの皮までおいしく食べる方法と注意点』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

【コツ2】下ゆでや「あく抜き」は最小限に

【コツ2】下ゆでや「あく抜き」は最小限に

さつまいもを切ったあと、水にさらしてアク抜きすることがありますが、実は長時間の水さらしはポリフェノールを流出させてしまう原因になります。

クロロゲン酸やヤラピンのような成分は、水にさらすと溶け出したり酸化して黒ずみ(アク)を生じますが、これらは苦味こそあれ害のある物質ではなく、むしろ有用な成分です。

ビタミンCなど水溶性のビタミンも長く水にさらすと減ってしまいます。

そのため、見た目の黒ずみや渋みが気にならない場合はアク抜きせず調理するのが理想です。

どうしてもアク抜きしたい場合も短時間(目安10分程度)で済ませるようにしましょう。

また、加熱調理するときも茹でこぼしたりせず、蒸し調理や焼き調理にするとポリフェノールやビタミンの損失を抑えることができます。

さつまいもに含まれるビタミンCはでんぷんに守られて加熱に強く、蒸し焼きにしても比較的残存しやすいという利点もありますjrt.gr.jp。

栄養を丸ごと取り入れるには、できるだけ余計な水分に触れさせず加熱するのがコツです。

(※さつまいものアク抜きに関しましては『さつまいもを水にさらすのはなぜ?』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

【コツ3】その他の栄養素も一緒に摂る

【コツ3】その他の栄養素も一緒に摂る

さつまいもにはポリフェノール以外にもヤラピンという独自成分や豊富な食物繊維、カリウム、ビタミン類(ビタミンC・E、葉酸など)も含まれます。(※さつまいもの食物繊維に関しましては『さつまいもの食物繊維|水溶性・不溶性のバランスと腸活効果』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

ヤラピンはさつまいもを切ったときににじみ出る乳白色の樹脂成分で、便通を促す緩下作用(便秘改善効果)が昔から知られています。(※ヤラピンに関しましては『「ヤラピン」とは|サツマイモ特有の成分を分かりやすく解説』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

食物繊維との相乗効果で腸内環境を整えてくれるため、さつまいもを食べるとお通じが良くなると言われるのはこのためです。

ビタミンCもさつまいもには意外と多く含まれ(生のさつまいも100g中に約25~30mg)、しかもデンプンに守られて加熱による損失が少ないので、美肌に欠かせないコラーゲン生成を助けるビタミンCを効率よく摂取できます。

このように、ポリフェノールとともに他の栄養素もしっかり摂れるよう、栄養まるごと料理を心がけると良いでしょう。

例えば、さつまいもと油を使った料理(天ぷらや炒め物)にすれば脂溶性のビタミンEの吸収率が上がりますし、ヨーグルトと和えればポリフェノールによる善玉菌活性化も期待できます。

様々な食材と組み合わせて、さつまいもの栄養パワーを余すことなく取り入れてください。

まとめ

まとめ

さつまいもに含まれるクロロゲン酸やアントシアニンといったポリフェノールは、抗酸化作用をはじめ血糖コントロールや脂肪蓄積抑制、目の健康維持、美肌効果など、私たちの健康・美容を幅広くサポートしてくれる心強い成分です。

身近な野菜であるさつまいもを上手に食生活に取り入れることで、「便秘が解消した」「疲れ目が楽になった」「風邪をひきにくくなった」「肌の調子が良い」など様々なメリットを実感できるかもしれません。

ただし、いくら身体に良いとはいえ食べ過ぎには注意が必要です。

さつまいもは低脂肪でヘルシーな食品ですが、炭水化物が主成分のためカロリーは決して低くありません。

特に甘くて美味しいからと大量に食べると、カロリーオーバーで太ってしまったり、食物繊維の過剰摂取でかえって便秘やおならの原因になることも報告されています。

摂取量の目安は、活動量や他の食事内容によって変わります。

参考として、さつまいも(生)は100gあたり約126〜127kcal程度なので、主食・間食として取り入れる場合は「他の炭水化物量とのバランス」を見ながら調整しましょう。

現在、ポリフェノール類については公的な摂取目標量が定められていません。

まだ研究途上の分野ですが、「カラフルな野菜や果物をまんべんなく食べる」中で自然にポリフェノールも摂取していくことが推奨されています。

さつまいもの場合も、普段の食事にうまく組み込みながら継続的に食べていくことで、その豊富なポリフェノールと栄養素の恩恵を受けることができます。

焼き芋や大学いも、さつまいもご飯、スープ、サラダ、デザートなどレパートリーも豊富ですので、ぜひ日々のメニューにさつまいもを取り入れてみてください。

さつまいもの持つ自然の甘みと栄養、そしてポリフェノールパワーを味方につけて、おいしく楽しく健康美を目指しましょう。

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