
健康食材として人気の「さつまいも」には、食物繊維が豊富に含まれるとよく言われます。
しかし、その具体的な根拠や効果について詳しくご存じでしょうか?
本記事では、さつまいもの食物繊維に焦点を当て、含有量のデータ、水溶性・不溶性食物繊維の働き、便秘解消や血糖値・コレステロールへの影響、他の高食物繊維食品との比較、調理法による違い、さらに一日の適切な摂取量や摂り過ぎの注意点まで、専門的な情報をわかりやすくご説明したいと思います。
腸内環境を整えたい方や生活習慣病予防を意識する方は、ぜひ参考にしてください。
食物繊維とは

まずは主役である「食物繊維」についてご説明します。
食物繊維とは、「人の消化酵素では消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと「食べ物に含まれているけれど、私たちの体の中では消化・吸収されずに、大腸まで届く成分」のことです。
たんぱく質や脂質、糖質といった他の栄養素は、胃や小腸で消化酵素によって分解され、体内に吸収されてエネルギー源などになります。
しかし、食物繊維はこの消化酵素の影響を受けないため、そのままの形で大腸まで届くことができるのです。
かつては「食べ物のカス」と見なされ、重要視されていませんでした。
しかし、近年の研究で整腸作用をはじめとする様々な有用な働きをすることが明らかになり、今ではたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの「五大栄養素」に次ぐ「第6の栄養素」として、その重要性が広く認識されています。
食物繊維には大きく分けて水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ性質や体内での働きが異なります。
ここで一度、その違いと健康効果を整理しておきましょう。
水溶性食物繊維とは

水溶性食物繊維は水に溶ける性質を持ち、水に溶けるとネバネバとしたゲル状に変化します。
代表的なものにペクチン(果物や野菜に含まれる)やイヌリン(ごぼうや菊芋、チコリなど)、海藻のアルギン酸、こんにゃくのグルコマンナンなどがあります。
ゲル状になった食物繊維は、硬くなった便を柔らかくし、腸内をスムーズに移動できるように手助けします。
水溶性食物繊維は小腸での栄養素の吸収速度をゆるやかにし、食後血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
また、コレステロールや脂質を絡め取って体外に排出するため血中コレステロール値を下げる効果や、高血圧の原因の一つであるナトリウム(塩分)の排出促進作用も知られています。
しかし、水溶性食物繊維のすごいところはそれだけではありません。
- 善玉菌のエサになる: 大腸に棲むビフィズス菌などの善玉菌にとって、水溶性食物繊維はごちそうです。善玉菌はこれをエサにして増殖し、腸内環境を整えてくれます。
- 血糖値の上昇を穏やかにする: ゲル状の食物繊維が、小腸での糖質の吸収を緩やかにするため、食後の血糖値の急激な上昇を防ぎます。
- コレステロールを低下させる: 脂質やコレステロール、胆汁酸などを吸着し、体外への排出を促すことで、血中コレステロール値を下げる効果が報告されています。
さらに水溶性食物繊維の多くは大腸で発酵分解されて腸内の善玉菌のエサ(プレバイオティクス)となり、腸内フローラを整えるのにも役立ちます。
不溶性食物繊維とは
不溶性食物繊維は、その名の通り水に溶けにくい性質を持ちます。
代表的な成分には、植物の細胞壁を構成するセルロースやヘミセルロース、リグニンなどがあります。
その主な働きは、まさに「腸のお掃除役」。
水に溶けずに胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、便のカサを増やします。
カサが増した便は、腸の壁を内側からやさしく刺激し、腸が内容物を先へ先へと送り出す運動(ぜん動運動)を活発にしてくれるのです。
これにより、スムーズな排便が促されます。
また、腸内の有害物質を吸着して、便と一緒に体の外へ排出するデトックス効果も期待されています。
ただし、不溶性ばかり過剰に摂ると人によってはガスがたまったり、痙攣性便秘(腸が過敏に動きすぎるタイプの便秘)では症状を悪化させてしまうこともあります。
バランスよく水溶性と不溶性の両方を摂ることが大切です。
水溶性食物繊維と水溶性食物繊維の比較表
| 特徴 | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 |
|---|---|---|
| 主な働き | 便を柔らかくし、滑りを良くする。善玉菌のエサになる | 便のカサを増やし、腸を刺激して排便を促す |
| 性質 | 水に溶けてゲル状(ネバネバ)になる | 水に溶けにくい。水分を吸収して膨らむ |
| 健康効果 | 血糖値上昇の抑制、血中コレステロール低下、腸内環境の改善 | 便秘解消(特に便の量が少ないタイプ)、デトックス効果 |
| 多く含む食品 | 海藻類(わかめ、昆布)、果物(りんご、バナナ)、大麦、オートミール、オクラなど | 穀類(玄米など)、豆類、きのこ類、ごぼう、野菜の皮など |
水溶性と不溶性の黄金バランス

さつまいもは、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方を含んでいるのが大きな特徴です。
あるデータによると、皮をむいて蒸したさつまいも100g(食物繊維総量2.3g)の内訳は、不溶性食物繊維が1.7g、水溶性食物繊維が0.6gと報告されています。
比率にすると、およそ「不溶性:水溶性 ≒ 3:1」となります。
これは、理想とされる「2:1」のバランスに比較的近く、不溶性が多めでありながらも、不足しがちな水溶性もしっかりと補える、非常に優れたバランスと言えます。
多くの食品がどちらか一方に偏りがちな中で、さつまいもは一つの食材で両方を効率的に摂取できる貴重な存在なのです。
さつまいもに含まれる食物繊維量はどれくらい?

まず、さつまいもには実際どの程度の食物繊維が含まれているのか、公式データをもとに確認してみましょう。
文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によれば、生のさつまいも(皮なし)100g中には食物繊維が約2.2g含まれています(※水溶性0.6g、不溶性1.6g)。
可食部100gあたり2g強というと、生の野菜類としては決して突出した値ではありません。
しかし、調理法や皮の有無によってこの数値は変化します。
例えば、加熱して水分が飛ぶと重量当たりの栄養濃度が上がるため、蒸したさつまいもでは100g中3.8g(皮つきの場合)もの食物繊維が含まれます。
一方、焼きいも(皮なし)の場合は3.5g程度ですが、皮ごと食べればさらに増えるでしょう。
干し芋(蒸して乾燥させたさつまいも)では水分が減るぶん5.9gと大幅に増加します。
下表に主な調理形態ごとの食物繊維含有量をまとめました。
| 調理形態・状態 | 食物繊維総量 (g/100g)※ |
|---|---|
| 生のさつまいも (皮なし) | 2.2 (水溶性0.6・不溶性1.6) |
| 蒸しさつまいも (皮あり) | 3.8 |
| 焼きさつまいも (皮なし) | 3.5 |
| 干し芋(蒸して乾燥) | 5.9 |
※日本食品標準成分表2020年版より作成。調理後は水分量の変化により可食部100gあたりの数値が変動します。
ご覧のように、皮つきのまま加熱することで食物繊維量が増える傾向があります。
これは皮そのものに食物繊維が多く含まれるためで、成分表でも皮なし(生)より皮つき(生)の方が100g中2.8gと多いというデータがあります。
したがって、食物繊維を効率よく摂りたいなら皮ごと調理して食べるのがおすすめです。
実際、さつまいもの皮には後述するヤラピンという成分も含まれ、便通を促す効果があることが知られています。
また、一度に食べる量にも注目しましょう。
さつまいもは甘く食べやすいので、一人で200~300g程度(中~大サイズ1本分)をペロリと食べることも珍しくありません。
仮に皮つきの蒸し芋300gを食べれば、食物繊維だけで約11.4g(3.8g×3)にもなり、これは成人の1日目標量の半分程度に相当します。
後述しますが、多くの野菜は一度に100gも食べないことを考えると、さつまいもは実質的に食物繊維を摂取しやすい優秀な食材と言えるでしょう。
他の高食物繊維食品と比べてどれくらい?
「食物繊維が豊富な食品」というと、皆さんは何を思い浮かべますか?
一般的によく挙がるのはごぼうや豆類、海藻類あたりでしょうか。
ここでは、さつまいもと代表的な高食物繊維食材の含有量(可食部100gあたり)を比較してみます。
下表をご覧ください。
| 食品(100gあたり) | 食物繊維総量 | 不溶性食物繊維 | 水溶性食物繊維 | バランスの特徴 |
| 蒸しさつまいも(皮つき) | 3.8g | 約2.8g (推定) | 約1.0g (推定) | 不溶性主体だが水溶性も豊富でバランスが良い |
| ごぼう(ゆで) | 6.1g | 3.4g | 2.7g | 水溶性・不溶性のバランスが非常に良い「食物繊維の王様」 |
| オートミール(乾) | 9.4g | 6.2g | 3.2g | 水溶性(βグルカン)が特に豊富 |
| アボカド(生) | 5.6g | 3.6g | 1.7g | ごぼうと並び、バランスの取れた優等生 |
| 玄米ごはん | 1.4g | 1.2g | 0.2g | ほとんどが不溶性食物繊維 |
※さつまいもの内訳は総量と比率からの推定値。オートミールの水溶性は総量と不溶性から算出。
この表からわかるように、ごぼうやオートミールは総量でさつまいもを上回ります。
しかし、さつまいもは100g程度なら容易に食べられるのに対し、ごぼうを100g食べるのはサラダにでもしない限り難しい面もあります。
また、オートミールは非常に繊維豊富ですが、一度に食べる量(1食30~50g程度が一般的)は多くありません。
アボカドも1個が200~300gありますが、脂質も多くカロリーが高いため大量には食べづらいでしょう。
さつまいもは適度なカロリーと甘みで主食代わりにもおやつにもなり、200g以上比較的無理なく食べられるという点で、実質的な食物繊維摂取源として優秀なのです。
さらに、さつまいもには食物繊維以外の栄養素や有用成分もバランス良く含まれています。
ビタミンCやビタミンE、カリウム、カルシウム、ヤラピン、ポリフェノール類(アントシアニンなど品種による)といった成分が多様に含まれ、それらも総合的に腸内細菌のエサになったり抗酸化作用を発揮したりして健康増進に寄与すると考えられています。
つまり、単に数値上の食物繊維量だけでなく、「さつまいもを食べる」こと自体がトータルで腸と体に良い効果をもたらすといえるでしょう。
さつまいもの食物繊維がもたらす健康効果

では具体的に、さつまいもの食物繊維を摂ることで得られる健康効果にはどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。
【健康効果1】便秘改善と腸内フローラの改善

「さつまいも=便秘に効く」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
その通り、さつまいもは食物繊維が豊富でお腹の調子を整えるのにぴったりの食材です。
まず、不溶性食物繊維による腸への刺激効果で便通を促します。
不溶性の繊維質が腸内の水分を吸収して便の量を増やし、蠕動運動(腸の動き)を活発にしてくれるのです。
特に普段から便秘がちの人は、意識的にこの食物繊維を摂ることで腸の動きをサポートできます。
また、食物繊維は腸内の善玉菌のエサにもなり、腸内フローラ(腸内環境)を整えるのにも役立ちます。
善玉菌が増えると有害物質の発生が抑えられ、結果的に便をため込まない健康的な腸内環境につながります。
さらに、さつまいもには「ヤラピン」という特有の成分が含まれていることをご存知でしょうか。(※ヤラピンに関しましては『「ヤラピン」とは?サツマイモ特有の含まれる成分』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
ヤラピンとは、さつまいもを切ったときに断面からにじみ出る乳白色のネバネバした液体のことで、さつまいもにしか含まれない栄養素です。
このヤラピンには腸の働きを助け、便を柔らかくする作用があり、昔からさつまいもが便秘に効く理由の一つとして注目されてきました。
特にヤラピンは皮の近くに多く含まれるため、便秘改善目的なら皮ごと食べるのが効果的です。
実際、さつまいもは食物繊維(不溶性・水溶性)+ヤラピンという二本立てで腸を刺激しつつ便を適度に柔らかくするため、頑固な便秘の解消に強い味方となります。
こうした理由から、「便秘にさつまいも」は科学的にもうなずけます。
ただし、食物繊維の摂り方にも注意が必要です。
不溶性食物繊維は便通を促しますが、水分補給が足りない状態で大量に摂ると、かえって便がかたまり詰まらせてしまうことがあります。
さつまいも自体にも水分はありますが、たくさん食べれば良いというものではありません。
一日1本程度を目安に適量を心がけ、食べる際はコップ1杯の水やお茶など水分も一緒に摂るようにしましょう。
そうすれば、さつまいもの食物繊維とヤラピンの効果がよりスムーズに発揮され、朝のトイレ時間にも嬉しい変化が現れるはずです。
【健康効果2】食後高血糖のリスクを下げる

糖尿病予防の観点でも、さつまいもの食物繊維は大きな助けになります。
ポイントはやはり食後血糖値のコントロールです。
食物繊維が豊富な食品は総じて血糖値が上がりにくく、インスリン分泌の負担を減らせます。
特にさつまいもは穀類と比べて「茹でた場合には」低GI食品とされ、代表的なGI値は50~55前後と報告されています。(※一方で、後述のように焼き芋など加熱方法によってはGI値が80以上の「高GI食品」になってしまうこともあるため、調理法には注意が必要です。)
現に、白米を主食にした場合と比べてさつまいもを主食に置き換えた場合、血糖値の上昇は穏やかになりやすいとされています。
膵臓からインスリンを大量に出さなくてもよい食生活は、将来的なインスリン抵抗性の改善や膵臓の疲弊予防につながり、2型糖尿病の予防・改善に有用と考えられます。
ただし一つ注意したいのは、さつまいもの調理法によるGI値の違いです。(※さつまいものGI値に関しましては『焼き芋のGI値は高い?低い?』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
「さつまいも=低GI」とはいえ、実はそれは茹でた場合の話。
ホクホクの焼きたての焼き芋はデンプンが糖に変わって非常に甘くなっているため、GI値が80~94にも達し得るとの報告があります。
これは白米や食パンに匹敵する高さで、熱々の焼き芋は高GI食品になってしまうのです。
一方、茹でたさつまいもであればGI値は40~50程度と低く抑えられます。
水から茹でてじっくり火を通すことでデンプンの糖化が進みにくくなるためで、血糖値コントロールを重視するなら最もおすすめの調理法です。
蒸し芋でもGI値60~70程度と中程度に留まりますが、電子レンジ調理ではやや高めになる傾向が報告されています。
つまり「さつまいも=低GI=糖尿病予防に良い」と一概に言っても、調理の仕方によっては血糖値への影響が大きく変わる点に注意しましょう。
糖尿病予防のためにさつまいもを活用するコツは、血糖値を急上昇させない食べ方をすることです。
具体的には、調理法を工夫する(茹でる・冷ます)、適量を守る、食物繊維豊富な皮も一緒に食べるなどがポイントになります。
さつまいも自体、ビタミンCやビタミンEなど抗酸化ビタミンも多く含み(しかもデンプンに守られて加熱に強い)、血管や細胞の健康維持にも役立つ野菜です。
うまく日々の食事に取り入れて、血糖値スパイクを防ぎながら栄養も摂れる頼もしい存在として活用してみてください。
【健康効果3】コレステロールや脂質を減らす効果

食物繊維には血中コレステロール値を低下させる働きもあります。
特に水溶性食物繊維は、小腸内でコレステロールや胆汁酸(コレステロールから合成される消化液成分)を吸着し、そのまま便と一緒に排出してしまう作用があります。
これにより、体内でコレステロールの再吸収が妨げられ、結果的に悪玉(LDL)コレステロール値の改善につながるのです。
また、食物繊維の摂取は総じて中性脂肪や体脂肪の増加を抑制する効果も報告されています。
食物繊維をしっかり摂っている人は心筋梗塞や脳卒中など動脈硬化性疾患のリスクが低いという疫学調査もあり、これはコレステロール低下効果や血圧低下効果(ナトリウム排出)による恩恵と考えられます。
さつまいもには約2~3割程度の水溶性食物繊維が含まれるため、このようなコレステロール改善効果も期待できます。
実際、「さつまいもの食物繊維は便秘を改善するだけでなく、血糖値の急上昇を抑えたり血中コレステロールを排出したりする働きもある」と管理栄養士が解説している記事もあります。
とりわけ、さつまいもを食前や主食代わりに食べると脂質や糖の吸収を穏やかにしてくれるため、食後高脂血症を防ぐ効果もあるでしょう。
脂質異常症(高コレステロール血症・高トリグリセリド血症)や肥満が気になる中高年の方にも、さつまいもは強い味方になってくれます。
以上のように、さつまいもの豊富な食物繊維は腸から血液まで幅広く健康をサポートしてくれることがお分かりいただけたと思います。
調理法や食べ方で変わる食物繊維とレジスタントスターチ
同じさつまいもでも、調理の仕方や食べ方次第で摂取できる食物繊維の量や種類が変わることはすでに触れました。
ここでは、そのポイントを整理してみます。
【おすすめの食べ方1】皮ごと食べる

繰り返しになりますが、さつまいもの皮には不溶性食物繊維が豊富です。
皮をむくと約2割程度食物繊維量が減ってしまうため、可能な限り皮つきのまま調理するのがおすすめです。
特に皮のすぐ内側にはポリフェノールも含まれ抗酸化作用も期待できるので、丸ごと活用しましょう。
ただし農薬が気になる場合はよく洗い、芽や傷んだ部分は取り除いてください。
(※さつまいもを皮つきで食べる時のポイントに関しましては『焼き芋の皮は食べるべき?栄養たっぷりの皮までおいしく食べる方法と注意点』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
【おすすめの食べ方2】蒸す・焼く

加熱調理では、蒸しや焼きがおすすめです。
理由は大きく二つあります。
一つは水溶性食物繊維が茹で汁に流出してしまうのを防げること。
水溶性食物繊維は水に溶け出す性質があるため、茹でこぼすと若干量が減ってしまう可能性があります。
その点、蒸し焼きなら栄養を閉じ込めやすい利点があります。
もう一つは、蒸しや焼きでは水分が飛んで食材が締まる分、同じ重量あたりの食物繊維含有率が上がることです。
成分表の数値でも、蒸し(皮あり)3.8g・焼き(皮なし)3.5gに対し、茹で(皮なし)は2.3gと低めになっています。
もっとも、これは調理によって吸収する水分量の違いによる「見かけ上の差」ですので、茹でても食べる量を増やせば摂取総量は補えます。
茹でたさつまいもはサラダなど他の食材と合わせやすい利点もありますから、調理法に優劣をつけず上手に活用すると良いでしょう。
【おすすめの食べ方3】冷まして食べる

3つ目はレジスタントスターチを増やすテクニックです。(※レジスタントスターチに関しましては『焼き芋の「レジスタントスターチ」とは?』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
焼きいもやふかしいもを一旦冷蔵庫で冷やすことで、でんぷんの一部が老化して難消化性のでんぷんに変化し、食物繊維様の働きをするレジスタントスターチが増加します。
増加分自体はわずかですが、その分血糖値上昇がさらに緩やかになるメリットがあります。
冷やした焼きいも(冷やし芋)はねっとり濃厚な甘さが楽しめるという味の利点もあります。
冷たい状態が苦手な場合でも、一度冷やしてから軽く温め直してもレジスタントスターチは大きく減らないことが分かっています。
夏場などはヨーグルトをかけてデザート風にするのも美味しく、ヨーグルト由来のプロバイオティクス(乳酸菌そのもの)とさつまいも由来のプレバイオティクス(食物繊維)が同時に摂取できる一石二鳥の腸活デザートになります。
【おすすめの食べ方4】干し芋にする

さつまいもを蒸して乾燥させた干し芋は、水分が飛ぶ分だけ食物繊維が凝縮されます。
100g中の食物繊維総量は生の約2倍強(5.9g)にもなります。
手軽に食べられるヘルシーおやつとして人気ですが、その分糖質(甘み)やカロリーも高く濃縮されています。食物繊維摂取という点では優秀でも、血糖値やダイエットを気にする方は食べ過ぎに注意しましょう。
少量でも満足感が高いので、お茶請けに一切れ二切れといった楽しみ方がおすすめです。
以上のように、さつまいもの食物繊維を余すことなく活用するには、「皮ごと」「蒸しor焼きで」「冷まして」食べるのが理想的と言えます。
食物繊維を効果的に働かせるには水分補給が欠かせません。
不溶性繊維は水を吸って膨らむことで便の排出を促すため、さつまいもを食べる際はコップ1杯の水、または食事と一緒にスープやお茶を飲むようにしましょう。
十分な水分と一緒なら、繊維がしっかりゲル状になり腸をスムーズに進んでいきます。
食物繊維の1日摂取量の目安とさつまいもの上手な取り入れ方
最後に、「結局どのくらい食物繊維を摂ればいいのか」「さつまいもを食べるときの注意点はあるのか」といった疑問にお答えします。
1日にどれくらい摂取すべき?

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」P154の表2では、年齢別に細かく記載されていますが、概ね18~64歳の成人では、日本人の食事摂取基準(2020年版)で食物繊維の1日当たりの目標量が「男性21g以上、女性18g以上」とされています。
65歳以上では若干少なめですが、それでも男性20g以上・女性17g以上が推奨されています。
なお、2025年版の食事摂取基準では、30~64歳男性の目標量が22g以上に引き上げられており、今後はより一層「+1g〜2g」を意識したいところです。
令和元年以降の国民健康・栄養調査の結果をみると、20歳以上では1日あたりおよそ15~18g程度にとどまっており、年齢や性別によって多少差はあるものの、目標量にはまだ届いていないのが現状です。
多くの方は慢性的な食物繊維不足に陥っているため、まずは+5g/日を目指して意識的に摂取量を増やすと良いでしょう。
この点、さつまいもは非常に有用です。
例えば中くらいのさつまいも1本(可食部150~200g)を食べれば食物繊維が約5~7g摂れます。
これは目標量の3割~4割に相当し、かなりの貢献度です。
朝食のご飯を150gのさつまいもに置き換えるだけで、一日の目標量の数十%を満たせる計算になります。
さらに野菜のおかずや果物、海藻のお味噌汁などを組み合わせれば、1日の必要量を十分クリアできるでしょう。
さらに、健康な腸のためには、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランス良く摂ることが理想的で、その比率は「不溶性:水溶性 = 2:1」が黄金比とされています。
多くの人は、意識しないと不溶性に偏りがちで、特に水溶性食物繊維が不足しやすい傾向にあります。
この「食物繊維不足」、そして「バランスの乱れ」という課題を解決するのに、さつまいもが非常に優れた食材なのです。
食べ過ぎても大丈夫?注意点は?

「食物繊維は体に良いから」と摂り過ぎることによる弊害も気になるところです。
結論から言えば、通常の食品から摂る分には過剰症の心配はほぼありませんが、いくつか注意点もあります。
まず、急に大量の食物繊維を摂るとお腹が張ったり下痢を起こしたりすることがあります。
特に普段あまり繊維を摂っていない人が一度にさつまいも丸ごと1本+野菜サラダ+豆類…などと頑張りすぎると、胃腸がびっくりしてしまうかもしれません。
少しずつ量を増やしつつ、水分も十分に取るようにして、腸を慣らしていきましょう。
また、前述の痙攣性便秘など腸が過敏なタイプの方は、不溶性繊維の多い食品を一度に大量に摂るとかえってお腹が痛くなる場合があります。
そういう場合は無理をせず、水溶性の多い果物やオートミール、発酵性のオリゴ糖類なども組み合わせながら調整してください。
もう一つ、糖質やカロリーの摂り過ぎにも注意しましょう。
さつまいもは食物繊維豊富とはいえ、その主成分はデンプン(糖質)です。
特に糖尿病の方や減量中の方が「体に良いから」とさつまいもを大量に食べてしまうと、本末転倒になりかねません。
適量の目安としては、1日にさつまいも中1本(150~200g)程度に留め、他の炭水化物源(ご飯やパン)の量をその分減らすとちょうど良いバランスです。
さつまいもの糖質量は100gあたり約30gです。
中くらいの1本(150g)なら約45g、大きめの1本(200g)なら約60g前後の糖質を含みます。
これは、白米の茶碗軽め1杯(約150gで糖質55g前後)と比べると、150gならやや少なめ、200gなら同程度かやや多めというイメージです。
食物繊維のおかげで血糖値は上がりにくいとはいえ、食べ過ぎれば総糖質量が増えることに変わりはありません。
あくまで適量を守って継続することが大切です。
まとめ

さつまいもに含まれる食物繊維について、含有量のデータから種類ごとの働き、健康効果、他食品との比較、調理法の工夫、摂取量のポイントまで幅広く解説してきました。
さつまいもは水溶性・不溶性食物繊維をバランスよく含み、便秘解消や腸内環境の改善、血糖値・コレステロールのコントロールなど多方面にメリットをもたらす優秀な食材です。
また、他の高繊維食品に比べて美味しく食べやすく、日常の食生活に取り入れやすい点も魅力と言えます。
もちろん、食物繊維は一つの食品だけで目標量を満たす必要はなく、いろいろな食材から摂るのが理想です。
さつまいもにプラスして、野菜、果物、豆類、海藻、きのこ、全粒穀物などを組み合わせることで、栄養のバランスもさらに良くなります。
例えば朝食に冷やし焼きいもとヨーグルト、お昼に雑穀ご飯やさつまいも入りのサラダ、夜は根菜たっぷりの味噌汁…といった形で取り入れてみてはいかがでしょうか。
さつまいもの自然な甘さと食感を楽しみながら、毎日の食卓でおいしく食物繊維を増やしていきましょう。
そうすればきっと、「頑固な便秘が解消した!」「最近お腹の調子がいい」「健康診断の数値が改善した」といった嬉しい変化が実感できると思います。
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