
焼き芋ブームに伴い、近年は様々な新品種のサツマイモが登場しています。
特に「安納芋」ブームに続いて開発された品種として、紅はるかとシルクスイートはここ数年で人気を獲得し、「次にブレイクするのはどっち?」と注目される存在です。
シルクスイートは名前のとおり絹のようになめらかな食感と上品な甘さが最大の魅力で、「するっ」と口に入って「ふわっ」と浮くような新感覚の舌触りで女性を中心に人気が急上昇中。
しっとり系で甘みの強いサツマイモが好まれる最近の消費傾向にも合致しており、スーパーでも見かける機会が増えてきました。
この記事では、専門家の視点からシルクスイートの特徴を詳しく解説し、紅はるか等他品種との違い、さらに美味しい選び方や保存方法までわかりやすくご説明したいと思います。
シルクスイートとは?新登場のしっとり系サツマイモ

シルクスイートは、群馬県前橋市にあるカネコ種苗株式会社が開発したサツマイモの新品種です。
従来の「蜜芋」とは一線を画す、しっとりとなめらかな食感と上品な甘さが特徴で、2011年に「シルクスイート」の名称が商標登録され、2012年から苗の販売が開始、2018年に品種登録(登録名:HE306)された比較的新しい品種です。
育成の際には、食味と外観に優れる品種「春こがね」と形の揃いやすい「べにまさり」を交配し、両親の長所を受け継ぐことで生まれました。
その名のとおり「シルク=絹のようになめらか」「スイート=甘い」というイメージどおり、舌の上でとろけるような優しい甘さが持ち味のサツマイモです。
比較的収穫直後から糖度が高く保存性も高いという特性も持ち、消費者ニーズに応えた品種と言えます。
開発元のカネコ種苗によると、現在は関東の茨城県・千葉県・福島県をはじめ九州の鹿児島県・熊本県・福岡県など日本各地で生産が広がっており、秋冬の焼き芋シーズンに店頭で見かける機会が増えています。
シルクスイートの特徴
シルクスイート最大の特徴は何と言ってもその食感と甘さです。
ここでは見た目と味わいの両面から、シルクスイートの詳しい特徴を見ていきましょう。
シルクスイートの見た目の特徴

シルクスイートの芋は均整の取れた紡錘形(ラグビーボールのような形)で、皮は薄く明るい赤紫色をしています。
一見すると紅はるかに姿形がよく似ていますが、シルクスイートの方が表皮の質感がなめらかで、加熱調理後にしっとりとした光沢が生まれる点が特徴です。
中の果肉は生の状態では淡いクリーム色ですが、焼いたり蒸したりすると鮮やかな黄金色に変化します。
この美しい黄金色とツヤツヤとした見た目からも、シルクスイートがしっとり系であることが視覚的に感じられるでしょう。
シルクスイートの食感と甘さの特徴

焼き芋にしたシルクスイート。
加熱すると果肉が鮮やかな黄金色に変わり、しっとりと蜜が染み出すこともあります。
シルクスイートは水分量が多く、焼き芋にするとしっとりなめらかでまるでスイートポテトのような口当たりになります。
繊維質が少ないためホクホク系の芋に比べて口当たりが良く、軽やかでクリーミーな甘さが感じられるのも特徴です。
その上品な甘さは濃厚すぎず後味にくどさが残らないため、「甘い焼き芋は好きだけど濃厚すぎるのはちょっと…」という方にこそシルクスイートはぴったりといえるでしょう。
焼き芋にしたとき冷めてもパサつきにくいので、冷やし焼き芋にしてもしっとり感が損なわれません。
こうした特長から、焼き芋はもちろんモンブランやスイートポテトなど素材の味を活かすスイーツ作りにもよく合い、幅広い楽しみ方ができるサツマイモです。
紅はるかなど他品種との比較

焼き芋好きの方にとって、シルクスイートの位置づけを理解するには他の人気品種との比較が欠かせません。
サツマイモの品種は大きくホクホク系(粉質系)・ねっとり系(蜜質系)・しっとり系に分類されることが多く、従来の代表格「鳴門金時」がホクホク系、安納芋や紅はるかがねっとり系なら、シルクスイートはその中間のしっとり系に位置づけられます。
以下に、代表的な品種である紅はるか・シルクスイート・安納芋・鳴門金時の特徴を比較表にまとめました。
| 呼称 | 区分 | 登録/商標など | 甘さの傾向 | 食感の傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 紅はるか | 品種(登録品種) | 品種登録:2010/03/11 | 強い甘みになりやすい | ねっとり系 |
| シルクスイート | 品種(登録品種) | 登録名:HE306(2018/01/30)/「シルクスイート」は商標 | 上品な甘さ | しっとり系 |
| 安納芋 | 総称(安納系) | 例:安納紅・安納こがね(1998/10/29 登録) | 濃い甘みになりやすい | ねっとり系 |
| 鳴門金時 | 地域ブランド名 | 地域団体商標「なると金時」 (2007登録) | 上品で比較的あっさり | ホクホク系 |
糖度は品種や測定条件によって変動しますが、一例として蒸し芋にした場合の相対比較です。(※さつまいもの糖度に関しましては『さつまいもの糖度(Brix値)とは?甘さの指標「糖度」の秘密』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
紅はるかや安納芋は時間をかけてじっくり焼くと糖度50度以上に達することもあり、まさに圧倒的な甘さですが、その分「甘みのインパクトが強すぎる」と感じることもあります。
一方、シルクスイートは適度な甘さとなめらかな食感で両者の良いとこ取りをしたようなバランスの良さが魅力です。
「安納芋や紅はるかは大好きだけど毎日はちょっと重い」という方でも、シルクスイートなら毎日でも食べたくなる飽きの来ない美味しさでしょう。
シルクスイートの旬と主な産地

シルクスイートは秋が収穫シーズンのサツマイモです。
収穫時期は例年9〜11月頃ですが、掘りたてよりも約5週間ほど貯蔵して追熟させることで甘みとしっとり感が増す特性があります。(※さつまいもの熟成に関しましては『さつまいもの甘さの秘密|「熟成」「糊化」「糖化」とは』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
そのため、市場に出回る食べ頃の時期は11月から翌年2月にかけてがメインとなります。
寒い季節にホクホクの焼き芋にすると、シルクスイート特有の上品な甘さが一層引き立ちます。
開発元は群馬県前橋市の企業ですが、主な産地としては茨城県・千葉県・福島県が挙げられ、近年は鹿児島県・熊本県・福岡県など西日本でも栽培が広がっています。
特定の地域に限らず広く栽培されることで流通量も増え、スーパーや八百屋でも比較的入手しやすい品種になりました。
シルクスイートの栄養と健康メリット

シルクスイートを含むサツマイモは、栄養面でも魅力が多い食品です。
主成分はエネルギー源となる炭水化物ですが、加えてビタミンCや食物繊維、カリウムなどを豊富に含み、美肌効果や腸内環境の改善にも役立つと言われます。
特にビタミンCは普通加熱に弱い栄養素ですが、サツマイモの場合はデンプンに守られているため加熱調理しても損失が少ないのが利点です。
焼き芋や蒸し芋にしてもしっかりビタミンCを摂取できるのは嬉しいポイントですね。
また皮の部分にはポリフェノールが含まれ、皮に近い層にはヤラピンというサツマイモ特有の成分が豊富です。
ヤラピンには緩やかな便通促進作用があり整腸に役立つとされていますが、比較的熱に強い成分でもあります。
したがって焼き芋にする際は皮ごと食べるのがおすすめです。(※焼き芋の皮に関しましては『焼き芋の皮は食べるべき?栄養たっぷりの皮までおいしく食べる方法と注意点』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
シルクスイートは水分が多く、食感として繊維感が目立ちにくい(なめらかに感じやすい)のが特徴です。
一方でサツマイモ全般としては食物繊維を含む食材なので、栄養面は品種差というより食べ方・量で調整するとよいでしょう。
カロリー面では、焼き芋小1本(約150g)あたりで約230kcalとされています。(※焼き芋のカロリーに関しましては『焼き芋のカロリーは?|「1本」や「100g」のカロリーの目安』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
同量(150g)の白ごはんとほぼ同程度かやや低めで、脂質がほとんどなく自然な甘みで満足感が得られるため、間食やエネルギー補給にも適しています。
甘いのにヘルシーなおやつとしてもサツマイモが昔から愛されてきた理由がわかりますね。
おいしいシルクスイートの選び方

シルクスイートを選ぶ際は、見た目のちょっとしたポイントを押さえるだけで甘くて美味しい芋を見分けることができます。
形とサイズ
ふっくらとした紡錘形で太さが均一なものを選びましょう。
焼き芋用には細長く小ぶりなイモの方が火が通りやすく扱いやすいです。
逆に太く大きめのものはスイーツ作りや料理の材料に向いています。
皮の状態
表皮にハリがありツヤのあるもの、触ってみて固く締まっているものが新鮮です。
皮がしなびてシワが寄っているものは鮮度が落ちて水分も抜けてしまっています。
表面に傷や痛みがないかも確認しましょう。
蜜のしみ出し

表面に黒い蜜のようなにじみが見える場合がありますが、これは傷口などから出た白い汁に含まれるヤラピンが、空気に触れて黒く変色したものとされます。(※ヤラピンに関しましては『「ヤラピン」とは|サツマイモ特有の成分を分かりやすく解説』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
必ずしも「蜜」や「甘い証拠」とは限らないため、甘さ重視なら「しなびていない・傷みがない・適切に追熟された時期のもの」を選び、低温でじっくり加熱されたものを選びましょう。
以上の点に注目して選べば、シルクスイート本来の甘さとしっとり感を存分に味わえる良質なイモに当たる確率が高くなるでしょう。
シルクスイートの保存方法
買ってきたシルクスイートを美味しさを保ちながら保存するには、少しコツがあります。
サツマイモは低温に弱い作物なので、保存環境に注意しましょう。
常温保存

シルクスイートは基本的に常温保存が適しています。新聞紙で一本ずつ包んで乾燥を防ぎ、段ボール箱や紙袋に入れて風通しの良い場所に置きましょう。
保存温度の目安は10〜15℃前後(理想は13〜15℃程度)。10℃を下回ると低温障害が起きやすいため、冷蔵庫は避けましょう。
収穫直後の場合は上記の状態で約5週間ほど追熟させると甘みがさらに増すので、農家や家庭菜園で掘りたてを手に入れた際はすぐ食べず少し寝かせるのがおすすめです。
(※さつまいもの保存方法に関しましては『さつまいもは冷蔵庫で保存しても大丈夫?正しい保存方法と長持ちのコツ』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
長期保存(冷凍)

長期間保存したい場合は焼き芋にしてから冷凍する方法があります。
シルクスイートを焼き芋にしたら、粗熱を取った後に皮付きのまま丸ごとラップで包み冷凍します。
食べるときは自然解凍してそのまま、または電子レンジで温め直せばホクホク感が戻ります。
調理用であれば、焼いた芋を使いやすい大きさにカットして小分け冷凍しておくと必要な分だけ解凍できて便利です。
冷凍した焼き芋はアイス感覚で半解凍のまま食べても意外なおいしさがありますので、暑い時期に試してみるのも良いでしょう。
(※焼き芋の冷凍保存に関しましては『焼き芋を「上手に冷凍する方法」をわかりやすくご説明します』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)
まとめ

シルクスイートは、サツマイモ好きの間で人気上昇中の注目新品種です。
その名のとおりのなめらかな舌触りと上品な甘さで、従来の焼き芋ファンのみならずスイーツ好きにも愛されています。
紅はるかや安納芋ほどの濃厚な甘さではないぶん毎日でも食べやすく、「しっとり系」という新たなカテゴリーを築いた存在とも言えるでしょう。
旬の時期にはぜひ店頭で手に取って、その美しい黄金色の果肉ととろける食感を楽しんでみてください。
専門家としての視点から特徴や違い、選び方まで解説しましたが、実際に食べ比べてみるとシルクスイートならではの魅力を一層実感できるはずです。
ホクホク系からねっとり系まで様々なサツマイモがありますが、シルクスイートの絶妙なバランスの美味しさはきっと期待を裏切りません。
是非シルクスイートを味わって、「絹の甘さ」を堪能してみてはいかがでしょうか。
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