自分好みのサツマイモの品種の選び方

はじめに

自分好みのサツマイモ

秋から冬にかけて旬を迎えるサツマイモ。

スーパーや八百屋に行くとさまざまな品種のサツマイモが並んでいて、「どれを選べばいいのだろう?」と迷うことはありませんか?

サツマイモ(かんしょ)は世界に多様な品種があり、日本国内でも作付される品種が(2019年時点で)約60程度あると報告されています。

品種ごとに甘さや食感が大きく異なるため、特徴を知って選ぶのが近道です。

この記事では、サツマイモ各品種の特徴や選び方のポイントをわかりやすくご説明したいと思います。

ホクホク派かねっとり派か迷っている方も、ぜひ参考にしてみてください。

サツマイモは品種でこんなに違う!食感と甘さの基礎知識

サツマイモは品種でこんなに違う

サツマイモは品種によって食感と甘みがまったく異なります。

大きく分けると、加熱した時の食感がホクホク(粉質系)かねっとり(粘質系)か、その中間のしっとり系か、という分類があります。

例えば、焼き芋にしたときにホクホク系の品種は栗のようにほろほろと粉をふく乾いた食感になり、ねっとり系の品種はスイートポテトのように水分を多く含んだしっとり滑らかな食感になります。

それに伴い甘さの感じ方も異なり、一般にねっとり系は強い甘みを持つものが多く、ホクホク系は上品であっさりした甘みのものが多い傾向があります。

品種による味わいの違いを知れば、あなたが本当に好きなサツマイモを選ぶ手助けになるでしょう。

サツマイモの甘さ

サツマイモの甘さ

まず甘さについて知っておきましょう。

生のサツマイモの甘み成分(ショ糖など)の量は品種によって様々ですが、一般的なサツマイモの糖度は生で約7度とされています(糖度○度=砂糖水○%程度の甘さという意味です)。

ところが品種改良や熟成方法の工夫により、非常に甘い品種では生でも糖度15度を超え、加熱すると糖度40~50度以上にもなるものがあります。

たとえば近年人気の「紅はるか」は焼き芋にすると糖度50~60度にも達し、冷やしてもスイーツのような甘さを感じられるほどです。

一方、昔ながらの品種「紅あずま」でも糖度は生で約14度、焼くと30度前後になり上品な甘さが楽しめます。

このように品種ごとに甘さの強さが違うため、「とにかく甘いサツマイモが好き」「甘さは控えめで良い」という好みに合わせて選ぶことができます。

サツマイモの食感

サツマイモの食感

また食感の違いも重要です。

ホクホク系品種はデンプン質が多く水分が少ないため、加熱するとホクホクほろほろした食感になります。

昔ながらの焼き芋の典型で、「焼き芋を割ったらホクホク湯気が出るのが好き」という方はこちらです。

一方ねっとり系品種は水分が多く粘質で、加熱するとクリームのような舌ざわりになります。

近年ブームになった蜜芋(ねっとり甘い焼き芋)はこちらで、「スプーンですくって食べるほどしっとりした焼き芋が好き」という方に好まれます。

しっとり系はこの中間で、程よい水分と滑らかさを持ち、ホクホク感もわずかに感じるバランス型です。

例えば「シルクスイート」は収穫直後はややホクホクですが、貯蔵すると粘質になりしっとり食感に変わるユニークな品種です。

サツマイモの調理特性

サツマイモの調理特性

調理適性も品種によって異なります。

同じサツマイモ料理でも、ホクホク系とねっとり系では相性が違います。

大学芋やサツマイモご飯などホクホク感を活かしたい料理には粉質の芋が向き、スイートポテトや芋ようかんなど滑らかさを活かすお菓子には粘質の芋が適しています。

たとえば「さつまいもご飯にはホクホク系、スイートポテトにはねっとり系がおすすめ」といった具合です。

このように目的の料理や食べ方に合わせて品種を選ぶのも、サツマイモを楽しむコツの一つです。

ホクホク派?ねっとり派?まずは食感の好みをチェック

ホクホク派?ねっとり派?

まずはご自身の好みがホクホク系かねっとり系かを知ると品種選びの指針になります。

参考までに、kufura(小学館公式)20~60代の男女500人に行ったアンケート(2023年10月公開)では、ホクホク派56.6%、ねっとり派36.6%という結果でした。

男性はホクホク派60.2%と多く、女性はホクホク派50.6%・ねっとり派43.5%と拮抗しています。(※調査条件によって割合は変動します。)

ホクホク派の意見としては「昔ながらの素朴な甘さで、バターや塩を足して食べるのが好き」「ねっとり系は甘すぎるのでホクホクのほうが芋らしくて良い」といった声が多く、一方ねっとり派からは「焼いただけで蜜のように甘く、スイーツ感覚で食べられるのが魅力」という声が聞かれます。

このように嗜好は人それぞれですが、最近の焼き芋専門店ブームでは「安納芋」や「紅はるか」に代表されるねっとり系の高糖度品種が主役になっています。

以前は粉質(ホクホク)系が「焼き芋の定番」として広く親しまれてきた一方、ねっとり系は水分が多いことから「水芋」として好まれにくかったとも言われます。

近年は安納芋やべにはるかなど高糖度・ねっとり系の人気が高まり、焼き芋の主役になりました。

とはいえ前述のようにホクホク系ファンも根強く存在し、近年は「ホクホク回帰」の新品種も出てきています。

たとえば種苗会社が開発した「栗かぐや」という新品種は、「最近はねっとり系ばかり…昔ながらのホクホク甘い芋が食べたい」という声に応えるように生まれた品種で、その名のとおり栗のようなホクホク感と黄金色の果肉が特徴です。

糖度も従来のホクホク系代表「紅あずま」より高めで、ホクホク派にはぜひ試してほしい注目株です。

このように、ホクホク系・ねっとり系それぞれに魅力的な品種が多数あります。

「自分はどっち派かな?」とイメージしつつ、次章から具体的な品種の特徴を見ていきましょう。

主なサツマイモ品種の特徴比較

主なサツマイモ品種の特徴比較

では、代表的なサツマイモ品種を食感タイプと甘さの観点で比較してみましょう。

以下の表に、人気の品種を中心に特徴をまとめました。

品種選びの参考にしてください。

サツマイモ品種の特徴比較
品種名(産地例)食感タイプ甘さの強さ(糖度目安)特徴・おすすめの食べ方
紅はるか(茨城ほか)粘質系(ねっとり)★★★★★★(非常に甘い)
※焼成後糖度50~60度
2010年に品種登録された高糖度系の代表格。
焼き芋ブームの主役。
強い甘みだが後味はすっきり。
冷やし焼き芋にしても甘さ健在。
干し芋やスイーツ加工にも◎。
安納芋(鹿児島)粘質系(ねっとり)★★★★★☆(極めて甘い)
蜜があふれる究極のねっとり芋
生でも糖度約16度と高く、焼くと40度近くまで上昇。
クリームのような舌触りと濃厚な甘さで「蜜芋」ブームの火付け役。
焼き芋はもちろん、蒸し芋や天ぷらでも◎。
シルクスイート(茨城ほか)中間→粘質(しっとり)★★★★★☆(非常に甘い)
滑らかな舌触りが魅力。
収穫直後はホクホク感もあるが、貯蔵でしっとり粘質に変化し甘さも増す。
上品でくどくない甘さで万人受けする味。
焼き芋・スイーツどちらにも人気。
紅あずま(茨城ほか)粉質寄り中間(ややホクホク)★★★★☆☆(やや甘い)
関東で広く栽培されてきたロングセラー品種。
濃い黄色の肉で繊維が少なく食べやすい。
甘さは控えめで上品な素朴さ。ホクホク感としっとり感のバランスがよく、料理用途が幅広い万能型(天ぷら、煮物、大学芋など何でも◎)。
焼き芋にしても昔懐かしい優しい甘さ。
鳴門金時(徳島)粉質系(ホクホク)★★★★☆☆(中~やや甘い)西日本を代表するホクホク系。
「高系14号」派生のブランド芋で、上品な甘みとホクホク食感が特徴。
加熱で果肉が美しい黄金色に変わる様子も楽しめます。
焼き芋にするとほくほく感と甘みが強く、多くの人に愛される味。
甘さは保存熟成でさらに向上し、1~3月頃の貯蔵品は特に甘いと言われます。
天ぷらや大学芋などあらゆる調理に適用できるのも魅力です。
栗かぐや(新品種)粉質系(ホクホク)★★★★☆☆(中~やや甘い)2021年に出願公表され、2023年12月に品種登録(登録品種名:HL1)のホクホク系新品種。
ホクホクしつつパサつきが少ない食感で、果肉は満月のような鮮やかな黄金色。
名前の通り栗のようなほっくり感が楽しめます。
糖度は紅あずまより高い傾向にあり、甘みもしっかり感じられます。
昔ながらのホクホク甘い焼き芋が好きな方にぜひ試してほしい品種です。
パープルスイートロード(紫芋)粉質系(ホクホク)★★☆☆☆☆(あっさり)紫色の果肉が特徴の品種。
優しい甘みで比較的さっぱりした味わいが特徴です。
焼き芋や蒸かし芋にするとしっとりほくほくとした食感で、芋本来の素朴な風味が楽しめます。
色合いを活かしてスイーツや料理のアクセントに使われることも多いです。
濃厚な甘さより自然な甘さを好む方に向いています。

※甘さの★評価は目安です(★6=突出して甘い、★3=標準的)。糖度は品種・産地や熟成度合いによって変動します。また紫芋系は品種によって甘さに差があります(上記パープルスイートロードは甘さ控えめですが、「ふくむらさき」のように糖度が高い紫芋新品種も登場しています)。

上の表に挙げた以外にも、日本各地で実に多様な品種のサツマイモが作られています。

近年は特定産地のブランド化も盛んで、「鳴門金時(徳島)」「安納芋(種子島)」「宮崎紅(宮崎)」「シルクスイート(茨城・千葉)」など、生産地の名前と結びついた品種も多いです。

品種名だけでなく産地やブランド名が付いている場合もありますが、その場合も基本的な味の特徴は品種で決まります(例えば「里むすめ」は鳴門金時の里浦地区ブランド、品種としては鳴門金時=高系14号系統です)。

品種選びをさらに楽しむポイント

ここまで代表的な品種の特徴を見てきましたが、「自分好みの品種」を見つけるためのポイントをいくつかまとめます。

甘さ重視か、風味重視か?

とにかく甘いサツマイモが好きな方は、紅はるかや安納芋など糖度の高い品種がおすすめです。

一方、「甘すぎるのは苦手で自然な甘さを楽しみたい」という方は、紅あずまや鳴門金時、あるいは紫芋系のように上品な甘さの品種が向いています。

好みの甘さの強さに合わせて品種を選びましょう。

ホクホク感か、ねっとり感か?

食感の好みも大切です。

ホクホク派の方は鳴門金時や紅あずまなど粉質でほろほろした品種を、ねっとり派の方は紅はるかや安納芋など粘質でしっとりした品種を選ぶと満足度が高いでしょう。

「シルクスイート」のような中間タイプはいいとこ取りの食感なので、どちらの良さも楽しみたい欲張りな方におすすめです。

料理用途で選ぶ

料理用途で選ぶ

サツマイモは品種によって向く料理があります。

ホクホク系は形が崩れにくく水分が少ないので天ぷらや煮物、大学芋などに向いています。

ねっとり系はペースト状にしやすく水分が多いのでスイートポテトや焼き芋などに最適です。

例えば「スイーツを作るなら紅はるか、料理に使うなら紅あずま」というように、作りたいものから逆引きして品種を選ぶ方法もあります。

旬や出回り時期を考える

品種選びをさらに楽しむポイント

サツマイモは収穫直後より貯蔵(熟成)したほうが甘みが増す品種が多いです。

紅はるかなどは秋に収穫後、冬まで貯蔵して糖度が上がったものが市場に多く出回ります。

逆に新芋ならではの爽やかな甘さを楽しみたい場合は、収穫直後の初秋~秋に出回るものを試すのも良いでしょう。

また新品種「あまはづき」は8月から収穫できる早生で、夏に甘いサツマイモを楽しみたい方に注目されています。

健康志向で選ぶ

サツマイモはどの品種も食物繊維やビタミンが豊富ですが、品種によって含まれる機能成分が異なります。

例えば紫芋はポリフェノールの一種アントシアニンが豊富で抗酸化作用が期待できますし、オレンジ色の芋(例:ハロウィンスイート)はβカロテン(ビタミンA)を多く含み栄養価が高いです。

サツマイモを切ったときに出る白い樹液は「ヤラピン」と呼ばれる成分(樹脂配糖体の一種)で、古くから緩下剤様の作用が知られているとされています。

体質によって感じ方は異なるため、まずは適量で試すのがおすすめです。(※ヤラピンに関しましては『「ヤラピン」とは|サツマイモ特有の成分を分かりやすく解説』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

栄養面に着目して珍しい色の品種にチャレンジしてみるのも面白いでしょう。

複数品種を食べ比べてみる

最終的には実際に食べてみないと自分の好みかどうか分からないものです。

最近では産直通販や道の駅などで色々な品種のさつまいもをセットで販売していることもあります。

興味が湧いた品種をいくつか取り寄せて、焼き芋の食べ比べをしてみると違いがよく分かりおすすめです。

ぜひ楽しみながらお気に入りの一本を見つけてください。

まとめ

まとめ

サツマイモの品種選びは、まるでワインやお茶のテイスティングのように奥が深く、知れば知るほど楽しみが広がります。

品種による甘さや食感の違いを理解すれば、「ほくほく派かねっとり派か」だけでなく、「この料理にはこの品種を使ってみよう」といった選択ができるようになります。

たとえば、一口に焼き芋と言っても、品種を変えるだけで全く別の味わいになります。

ホクホク系の焼き芋ならバターをのせてほっくり感を堪能したり、ねっとり系の焼き芋ならスプーンですくってスイーツのように味わったりと、好みに合わせた至福の食べ方がきっと見つかるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、スーパーや産直市場でサツマイモを選ぶ際は品種名に注目してみてください。

そして気になる品種があれば実際に食べてみて、その味わいの違いを楽しんでみましょう。

ホクホク系からねっとり系、新品種から希少品種まで、サツマイモの世界はとても多彩です。

きっと「これだ!」と思えるマイベストな一品に出会えるはずです。

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