べにはるか|品種基本情報
| 項目 | 内容 |
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| 正式名称 | べにはるか (Hinshu) |
| 読み方 | べにはるか (Hinshu) |
| 通称・ブランド名 | 紅はるか(一般的な漢字表記)。代表的な商標・ブランド名として「甘太くん」「紅優甘(べにゆうか)」「紅天使」などがあります。なお、正しい品種名は「べにはるか」です。 (農林水産省) |
| 品種登録番号 | 19255 (Hinshu) |
| 育成機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)/育成担当は九州沖縄農業研究センター (Hinshu) |
| 登録年・育成年 | 登録年:2010年3月11日/育成年:2007年 (Hinshu) |
| 来歴(交配親) | 母:九州121号/父:春こがね。旧系統名は「九州143号」です。 (農林水産省) |
| 品種カテゴリ | 青果用(食用)。焼きいも・料理・菓子向けの加工適性も高い品種です。 (農林水産省) |
べにはるか|外観・食味特性
外観
| 項目 | 内容 |
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| 皮の色 | 赤紫〜濃赤紫。公的資料では「赤紫」、茨城県の特性調査では「濃赤紫」とされています。 (農林水産省) |
| 肉色(生) | 黄白。 (農林水産省) |
| 肉色(加熱後) | 淡黄。茨城県の特性調査では「蒸しいもの肉色=淡黄」とされています。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 形状 | 長紡錘形。農研機構の紹介では「紡錘形」、茨城県の特性調査では「長紡錘形」とされています。 (農林水産省) |
| 大きさの傾向 | 中程度。株当たりのいも数は多めで、上いも1個重は比較品種よりやや軽い傾向が示されています。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 外観の特記事項 | 形の揃いがよく、条溝・裂開が少なく、A品率が高い品種です。外観は「高系14号」より優れるとされています。 (農林水産省) |
食味
| 項目 | 内容 |
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| 食感タイプ | しっとり〜ねっとり。掘りたてはやや粉質ですが、貯蔵すると粘質になりやすい品種です。 (農林水産省) |
| 甘さレベル | 非常に甘い。蒸しいもの糖度は「高系14号」より高く、甘みが強いとされています。 (農林水産省) |
| 糖度目安(Brix値) | 蒸しいもで8.4という試験例があります(収穫後27日、茨城県試験)。一方、農研機構の比較図では蒸しいも糖度がおおむね22〜24相当で示されています。測定法が異なるため、単純比較は要注意です。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 加熱後の甘さ変化 | 加熱で甘みが出やすく、貯蔵するとさらに甘みが増します。農研機構は、糖化が速く、貯蔵中にスクロースへ代謝されやすいと説明しています。 (農林水産省) |
| 風味の特徴 | 麦芽糖を多く含む、上品でなめらかな甘さが特徴です。滑らかな舌触りで、冷めてもおいしいと紹介されています。 (農林水産省) |
| 食味の特記事項 | 焼きいも適性が高く、干しいもや菓子加工にも向きます。早い時期から食味がよく、貯蔵が長すぎると粘質化が進みすぎることがあります。 (農林水産省) |
べにはるか|栽培特性・産地情報
栽培特性
| 項目 | 内容 |
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| 植え付け適期 | 標準作型では5月下旬ごろ。早掘り作型では4月中旬〜5月上旬の挿苗例があります。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 収穫までの日数 | 標準作型では約130日前後(5月下旬挿苗→10月上旬収穫)。早掘りでは4月中〜下旬挿苗→8月上旬〜9月中旬収穫です。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 収量性 | 中程度〜多収。農研機構では「高系14号」並か多収とされますが、干しいも用途では「タマユタカ」比で低収の試験例もあります。 (農林水産省) |
| つるの伸び方 | 旺盛。圃場ではつる重がかなり重い年があり、育苗では側枝が多く葉も大きいとされています。 |
| 貯蔵性 | 良い。農研機構では「易」で、比較品種並みに貯蔵しやすいとされています。 (農林水産省) |
| 栽培難易度 | 中級。多収性と食味は優れますが、窒素過多によるつるぼけ、長形いもの収穫時の切断、皮むけ対策など管理上の注意点があります。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 家庭菜園適性 | 普通。栽培自体は可能ですが、つるがよく伸びること、収穫後の貯蔵で食味が大きく変わることから、放任よりは管理できる人向きです。これは公的資料の特性からの推定です。 |
| 栽培の注意点 | 可給態窒素が高い圃場ではつるぼけしやすく、減肥や土壌管理が必要です。干しいも用途では株間を広めに取ることが推奨され、いもが長紡錘形のため収穫時の切断にも注意が必要です。さらに「べにはるか」は皮むけしやすいため、出荷前の貯蔵温度・期間管理が重要です。 (茨城県公式ウェブサイト) |
耐病性
産地情報
| 項目 | 内容 |
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| 主要産地 | 茨城県、千葉県、鹿児島県、大分県を中心に、九州・関東の産地で普及しています。農研機構は「九州や関東のサツマイモ産地を中心に普及拡大」としています。 (農林水産省) |
| ブランド産地 | かのや紅はるか(鹿児島県鹿屋市周辺)、甘太くん(大分県臼杵市・豊後大野市など)。また茨城県では、ひたちなか市・東海村・那珂市周辺の干しいも産地で普及が進められています。 (鹿児島きもつき農業協同組合 | 鹿児島きもつき農業協同組合公式ホームページです。) |
| 出荷時期(旬) | 一般には秋〜冬が中心です。早掘りでは8〜9月出荷があり、熟成型ブランドでは11〜12月以降に本格出荷、産地によっては1月以降の出荷を重視しています。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 流通量 | 多い。農研機構は普及拡大とブランド化の進行を明記しており、かんしょ主産県でも広く扱われています。 (農林水産省) |
| 入手方法 | スーパーで購入可。ブランド品・産地品は通販でも流通しています。 (大分県ホームページ) |
べにはるか|おすすめ調理法・活用情報
調理適性
| 調理法 | 適性 | 備考 |
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| 焼き芋 | ◎最適 | 推奨温度帯:オーブン170℃前後。大分県の加工試験では、170℃・90分が品質の安定性と作業効率の面で最も推奨できる条件とされ、二段階焼成(170℃→200℃)で品質向上も報告されています。べにはるかは糊化開始温度がやや低く、β-アミラーゼ活性が高いため、低温域をじっくり通す焼き方と相性がよいです。 (大分県産業科学技術センター) |
| 蒸し芋 | ○ | 蒸しいもでも糖度が高く、甘みが強い良食味です。ただし、ねっとり感と香ばしさの出方は焼き芋が優位です。 (農林水産省) |
| 天ぷら | ○ | 甘みは出やすいですが、高糖度で色づきが早いため、厚切りよりやや薄めのほうが扱いやすいです。これは品種の高糖度・粘質性に基づく実用判断です。 (農林水産省) |
| スイーツ | ◎ | 農研機構はお菓子向きと明記しており、千葉県のペースト加工研究でも、軟らかいべにはるかはペースト用途に適するとされています。スイートポテト、プリン、羊羹、アイス向きです。 (農林水産省) |
| 干し芋 | ◎ | 茨城県の試験では、黄色い外観、やわらかい食感、強い甘味で総合評価が高く、干しいも用品種として奨励されています。関連資料でも、シロタが少なく見栄えがよいとされています。 (茨城県公式ウェブサイト) |
| 料理利用 | ○ | 農研機構は料理向きとしています。特に、甘さを生かすポタージュ、芋ごはん、サラダ、大学芋向きです。反対に、形をしっかり残したい煮物では加熱しすぎに注意が必要です。後半は品種特性からの実用判断です。 (農林水産省) |
最適な調理法
相性の良いレシピ
- オーブン焼き芋、壺焼き風焼き芋。 (大分県産業科学技術センター)
- スイートポテト、芋ようかん、さつまいもプリン。 (千葉県ホームページ)
- 干し芋、冷やし焼き芋。ねっとり系の食感を生かしやすいです。後者は品種特性からの実用判断です。 (茨城県公式ウェブサイト)
- ポタージュ、さつまいもサラダ、大学芋。甘さを主役にしやすい料理です。これは農研機構の「料理向き」という評価を踏まえた実用判断です。 (農林水産省)
加工品としての利用
保存方法
| 保存方法 | 方法・条件 | 保存期間の目安 |
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| 常温保存 | 生いも向き。表面を乾かし、段ボールや木箱に入れて、13〜14℃前後の温度変化が少ない屋内で保存します。9℃以下は低温障害、15℃以上は退色や萌芽の原因になります。 (農林水産省) | 条件が整えば翌年4月ごろまで可能とされています。家庭では温度管理が難しいため、早めの消費が無難です。 (農林水産省) |
| 冷蔵保存 | 生いもは非推奨です。家庭用冷蔵庫は低温すぎて傷みやすくなります。冷蔵するなら、加熱後の短期保存に限るのが無難です。 (農林水産省) | 要確認(生いもの冷蔵は非推奨)。 |
| 冷凍保存 | 加熱後またはマッシュ後に小分けして冷凍すると使いやすいです。農水省は家庭冷凍の基本として、加熱してから素早く凍らせることを勧めています。 (農林水産省) | 家庭での目安は約1か月です。 (SMART AGRI(スマートアグリ)) |
熟成のポイント
べにはるかは、掘りたてよりも一定期間貯蔵したほうが甘みが出やすい品種です。一般的な基準は13〜15℃前後ですが、千葉県の報告では、2か月以内の短期貯蔵なら11℃で糖化を促進できる一方、低温が過ぎると外観低下や黒変のリスクがあります。さらに、6か月以上の長期貯蔵では15℃が甘味と肉質のバランスを保ちやすいと報告されています。焼き芋用なら、収穫後すぐより数週間〜1、2か月ほど落ち着かせた芋のほうが、べにはるからしいねっとり感と強い甘みが出やすいです。 (いも類振興会)